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授業の内容(Course Description) |
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年画は中国の年間行事が深く関係している。それは、春節(正月)だけではなく、年間の重要行事である正月15日の上元、5月5日の端陽、8月15日の中秋などに、家の入口の門や室内の壁など、室内外に貼って、駆邪、安全(あんぜん)、納(のう)福(ふく)、慶喜(ちかよし)、長寿、吉祥(きちじょう)などを祈念(きねん)する信仰的な木版画である。「年画」は、神仏、物語、めでたい図柄や文字などを表現している。それには、中国の人びとの素朴な願いが込められている。そして、「年画」という木版画として中国の伝統的な思想、民俗文化を表わし、装飾品として室内外に飾られた。中国の伝統的な民間の木版画と民俗芸術文化として、その後の人びとにも継承されてきた。 さらに、蘇州の「年画版画」などは、徳川時代には長崎唐人屋敷などに船で運ばれ、日本の浮世絵にも大きく影響を与えている。
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授業の到達目標(Course Objectives) |
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この授業は、現地に直接調査した中国の伝統的な木版画の「年画」制作や、木版画の「年画」の物語、正月の行事を通して中国民間の風習・習俗から中国人の伝統的な民俗思想について紹介することが目的である。
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成績評価方法(Grading Policy) |
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出席状況と授業態度、レポート、手作業の中国きり絵を総合的に評価する。
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テキスト・参考文献(Textbooks) |
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講義内容の要約プリントなどを配布し、それに沿って講義を進める予定。参考文献などについては授業のなかで説明する。
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学生への要望・その他(Class Requirements) |
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授業には中国切り絵の創作が含まれる。学生は受身ではなく、積極的に自らの豊かな感性を発揮し、手作業の創作によって、異国文化を理解しながら大いに楽しんで欲しい。また、末に大學で手作業したミニ『中国きり絵展』を開催する。授業内容の進み方によっては、週の授業内容の順番が変わることがある。
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授業の計画(Course Syllabus) |
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【第1回】 授業に関する説明 【第2回】 山東省濰坊市楊家埠村の由来と楊家埠木版年画の歴史 【第3回】 山東省濰坊市楊家埠村楊家埠村と楊家埠木版年画の現在 【第4回】 楊家埠木版年画の制作方法 【第5回】 楊家埠木版年画の意匠たち 【第6回】 1.中国人にとっての「年」の物語、年画の由来と意味、中国の正月の行事と年間の祭り 2.最早の紙の発明による、西漢(AD206-8年)の“霸橋紙”から蔡倫の「祭候紙」について 紙と印刷、年画などの関係 3.中国各地域の年画の特徴と俗称と発展 【第7回】 楊家埠木版年画の竃神年画の由来物語と行事、中国きり絵の関係 【第8回】~【第14回】 手作業の中国きり絵の創作 【第15回】 中国きり絵の創作とレポートの提出と、創作した作品をミニ展示する準備(展示期間は検討中)
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