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授業の内容(Course Description) |
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犯罪心理学は、犯罪に走った人の心理や行動を研究する学問で、犯罪学の一分野として出発したが、心理学等の発展と共に、それらの知見を応用することも多くなり、現在は応用心理学の一分野となっている。またこの分野は、犯罪と直接関わる諸機関からの要請に応えて、例えば犯罪捜査に関しては、犯人像の推定、供述の真偽判定、裁判に関しては、犯行の心理や有責性の鑑定、矯正・保護に関しては矯正技法や拘禁の心理学の研究を行ってきた。 この基礎論では、犯罪に関する科学的研究の歴史的展開と、犯罪現象、犯罪者の心理等に関する基礎的知見を紹介すると共に、犯罪心理学の果たすべき役割についての理解を深めることを目的とする。
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授業の到達目標(Course Objectives) |
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例えば,日本の犯罪状況悪化について、マスコミ報道にだけ頼るのではなく、もっと客観的な資料に当たるようにするなど犯罪に関し事実を解き明かし、理論を組み立てる等犯罪心理学の基礎を学ぶ。
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成績評価方法(Grading Policy) |
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定期試験80%、授業参加状況20%とする。なお答案の評価については、単なる知識の程度ではなく、講義で得た知識をもとに犯罪や犯罪者についての理解をどの程度深めているかに重点を置くので、日ごろから講義内容について深く考えておくことを望みたい。
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テキスト・参考文献(Textbooks) |
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藤岡 淳子 編『犯罪・非行の心理学』有斐閣 必要に応じて資料等をコピーして配布する。
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学生への要望・その他(Class Requirements) |
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後期の「各種犯罪者の心理」の受講を希望する者は、この基礎論を確実に理解し単位を取得すること。犯罪心理学は応用心理学の一つであるから、受講を希望する者は心理学の基礎的知識を持っている必要があるので、少なくとも教養程度の心理学の単位を取得していることを条件とする。したがって、一年生の受講は遠慮されたい。
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授業の計画(Course Syllabus) |
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【第1回】 現代日本の犯罪動向 日本の安全神話の崩壊について、「犯罪白書」のデータ等で実態をつかむ。 【第2回】 犯罪心理学の基礎 犯罪心理学の目的について理解する。また、犯罪を研究するために必要な法律的知識を中心とした基礎知識を学ぶ。 【第3回】 犯罪心理学の歴史(1) ロンブローゾ等初期の研究者の理論とその問題点について考える。 【第4回】 犯罪心理学の歴史(2) 一元的原因論から多元的原因論への流れを学ぶ。 【第5回】 犯罪心理学の歴史(3) 社会化過程と犯罪との関連について考える。 【第6回】 犯罪心理学の歴史(4) 犯罪者についての主要な類型を紹介する。 【第7回】 犯罪と人格要因との関連 犯罪研究における人格理解の意義と力動的構造論について考察する。 【第8回】 犯罪の発生とその理解(1) 犯罪統計に関する基礎的知識と統計を見るうえでの留意点を学ぶ。 【第9回】 犯罪の発生とその理解(2) 犯罪の国際比較と国ごとの文化の差による違いについて考える。 【第10回】 少年非行の心理(1) 少年非行の現状と非行原因について考察する。 【第11回】 少年非行の心理(2) 非行少年の処遇と回復過程について考える。 【第12回】 犯罪者の処遇(1) 受刑者の施設内処遇の現状と問題について考える。 【第13回】 犯罪者の処遇(2) 犯罪者の社会内処遇の現状と問題について考える。 【第14回】 精神鑑定と心理鑑定 精神医学や心理学の刑事司法との関わりについて考える。 【第15回】 犯罪心理学の社会的役割 犯罪心理学が現在果たしている社会的役割について考察する。
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