Web Syllabus(講義概要)

平成23年度

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タンパク質情報科学(Structural Bioinformatics) 若林 健之
2年 前期 専門科目選択 2単位
【バイオ・前】 11-1-0376

1.
授業目標
タンパク質は分子レベルでの生命機能を担っている。全遺伝子情報(ゲノム情報)が明らかになったが,遺伝子情報からはタンパク質立体構造が予言できるわけではないし,機能も分からない。しかし,情報科学の進歩につれて,予言が可能な場合が増えつつある。また立体構造から機能を予言出来る場合がある。これらは,将来のバイオサイエンスを大きく変える可能性を秘めている。バイオインフォーマティクスのうちでタンパク質に関わる部分にフォーカスを当てて,未来志向の分野を解説する。
2.
授業概要
1)バイオインフォーマティクスとは何か。情報とは何か?
2)タンパク質立体構造の階層性とタンパク質の構築要素プロックとしてのアミノ酸 
3)二次構造(αヘリックスとβストランド)について
4)二次構造をアミノ酸配列から予言できるか?予言がある程度しか成功しない理由は何か?
5)三次構造(立体構造):アミノ酸配列から立体構造を予言出来るか?
6)構造モチーフについて
7)進化の過程でタンパク質立体構造とアミノ酸配列のどちらが変化しやすいか?
8)分子擬態とはなにか?なぜこのような現象が起こるのか?
3.
準備学習
この科目専用のノートブックを用意して下さい(出来れば糸で綴じてあるもの)。ルーズリーフは避けること。
 各回の授業計画をみて、該当する部分を、教科書を予め読んでノートブックの左側のページにまとめを書き込む。図があるときはすべてノートブックにスケッチを描き込んでおく。
 ミニテストに備えること。授業計画に書いた範囲は必須で、この範囲の前後からも出題する可能性はあります。
 右側のページは講義を聴いて書き入れるために取っておく。
 英和辞典(リーダース英和辞典を推奨:他の英和辞典では用語があまり書いていない)を使って、教科書に出てくる英語の発音、アクセントを調べる。ミニテストでも英語のスペリングとアクセントの記入の問題を随時出題します。期末試験の問題Bとしても出題することがあります。
4.
授業計画
【第1回】バイオインフォーマティクスとは何か。情報とは何か?
【第2回】なぜ、DNAの塩基配列情報だけでは、タンパク質を理解できないのか?
     どんな情報が足りないのか?どのようにして補うのか?
【第3回】タンパク質立体構造の階層性とタンパク質の構築要素プロックとしてのアミノ酸 
【第4回】二次構造(αヘリックスとβストランド)について
【第5回】二次構造をアミノ酸配列から予言できるか?予言がある程度しか成功しない理由は何か?
【第6回】三次構造(立体構造):アミノ酸配列から立体構造を予言出来るか?
     予言できるはどのような場合か?
【第7回】ATP/GTP結合タンパク質の構造モチーフについて
【第8回】カルシウム結合タンパク質の構造モチーフについて
【第9回】DNA結合タンパク質の構造モチーフについて
【第10回】回文構造のDNAに結合するタンパク質の特徴はなにか?
【第11回】進化の過程でタンパク質立体構造とアミノ酸配列のどちらが変化しやすいか?
【第12回】タンパク質のドメイン構造と遺伝子融合の関係について
【第13回】分子擬態とはなにか?なぜこのような現象が起こるのか?
【第14回】タンパク質合成機構と分子擬態について
【第15回】バイオインフォーマティクスの今後の動向
5.
成績評価の方法、基準
定期試験の結果で評価します。試験は問題Aはノート(綴じられたノートに限る、ルーズリーフはノートに貼り付けた場合のみ持ち込み可能)と自筆のレポート(バソコンで書いたものは不可)を参照して解答し(生物物理学1、生体エネルギー、タンパク質立体構造の講義ノートの持ち込みも可)、問題Bはなにも見ないで解答する。いづれも配点は50点で、解答時間は30分。定期試験の成績がボーダーライン上にあれば、合否は試験終了直後に提出されたレポートの内容で決定する。レポートはA4のレポート用紙に、全講義に関して1回の講義の内容を数ページにまとめたものを(つまり全体で約30ページ程度),黒の水性ボールペンで自筆で書き(挿絵や強調に他の色を使うのは構わないし,むしろ望ましい)、科目名・氏名・学籍番号を書いた表紙を添えて,左上で三カ所ホッチキス止めする。
 注意:ルーズリーフを束ねたものや、バインダーに綴じたものは提出できませんし,試験にも持ち込めません。
6.
使用テキスト及び使用教材
教科書:◎Essential細胞生物学第2版(南江堂,8,000円)の第2章,第4章,第9章 
(初版を持っている人は買い換え不要。但し,章は,それぞれ2,5,9章なので注意)
 なお、この教科書は、生物物理学1、生体エネルギー、タンパク質立体構造の講義でも教科書として使います。
参考書:○生化学 第4版第2章(ストライヤー,トッパン)
カラー図解 アメリカ版大学生物学の教科書 第1〜3巻 ブルーバックス) 講談社 〜1.5千円
7.
その他
受講用のノートを用意すること(糸で綴じたノートが望ましい)。ルーズリーフに書いたものは試験には持ち込めないので注意。前回までのレポート,青と赤の筆記用具,鉛筆/シャーペン、定規,電卓を持参すること。