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授業目標 |
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柔道整復学科のカリキュラムには国家試験を意識した講義が多いようになっています。よって、日頃からある種のプレッシャーの中で学生諸君が講義を受けているのではなかろうかと、教える方としても、いささか気になる所ではあります。そこで、その種の縛りを取り払った、興味にまかせて自由に展開する構えの講義として、学科開設当初の予定には無かった(従って、他の大学や専門学校の柔道整復学科にも、無いと思われる)講義として、「現代生命科学(1年生向け:塩川・小松・バイオの梶谷教授)」と「基礎医学」(3年生向け:若林)を新たに設定し、その取得単位は卒業単位として数えることができるようにしました。ここでは、学問的興味にまかせて、現代的な生命科学のトピックスをひろいながら、サイエンスすることの楽しみをいささかでも学ぶことができるように、教員、学生が一緒になって自由研究的に講義を展開することを目標としています。
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2. |
授業概要 |
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最初に6回の講義を行う塩川が基礎的な事を主として扱い、高校と大学のギャップを埋めていくように努力することにします。そのために「細胞」という切り口からこのコードワードを意識しながら生命の不思議に付いて6回講義します。続いて小松が生き物の生理形態学という切り口から、生命科学の中心的な話題を生理化学的に取り上げます。最後に担当するバイオサイエンス学科の梶谷教授がより実験的あるいは体験的なかたちで、講義の中に、主として生化学あるいは分子生物学的な演習のスタイルを取りながら、立体的な講義を組み立てていくようにします。本講義の最初の部分は1年生の前期に適当なもののように見える形をしていまが、中間部分は1年生後期から2年生前期に適当なものの形となり、最後の部分は2年生後期に適当なものとなるように流れていくように組み立ててあります。
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3. |
準備学習 |
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特にこれをやっておかなければいけないという事はいわないようにしますが、高校の教科書はこれを「すでに通過した過去の事」とバカにしないで、もう一度目を通しておく事を要望しておきます。又、高校の時に物理あるいは化学を選んだ事によって、生物学を全く勉強してこなかった学生諸君につきましては、生物学の教科書が手元にないであろうから、塩川が「大学基礎生物学」の教科書を指定してこれを使用することにしております。よって、高校で生物を履修しなかった諸君は、この教科書を予習してくる事を要望しておきます。
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4. |
授業計画 |
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【第1回】細胞の世界その1:生物と無生物の違い・生命を支える分子、特に蛋白質。 【第2回】細胞の世界その2:生命を支える分子、特にDNAとRNA。 【第3回】細胞の世界その3:生命の最小単位としての細胞、および細胞小器官。 【第4回】細胞の世界その4:生命の連続性と遺伝子、および遺伝のしくみ。 【第5回】細胞の世界その5:卵と精子の合体と生命の発生・形態形成。 【第6回】細胞の世界その6:細胞分化のしくみとそこから派生する問題,例えば、クローン;多能細胞。 【第7回】生理機能からみた生命 その1:酵素とATP、およびエネルギー代謝のコントロール 【第8回】生理機能からみた生命 その2:ホメオスタシスと個体の維持 【第9回】生理機能からみた生命 その3:刺激の受容と反応 【第10回】生理機能からみた生命 その4:本能と本能行動 【第11回】生理機能からみた生命 その5:学習と条件反射 【第12回】生理機能からみた生命 その5:痛みと痛み行動 【第13回】現代生命科学講義・演習その1:DNAをみてみよう!台所でもできる抽出実験。 【第14回】現代生命科学講義・演習その2:赤く輝く緑の葉緑素!光合成の第1歩を科学する。 【第15回】現代生命科学講義・演習その3:生き物とらせん!生き物の中に数学的な美しさを見る。
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5. |
成績評価の方法、基準 |
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基本的に、試験期間になって筆記試験を行い、その成績により評価を行います。筆記試験の問題としては、塩川が2題、小松が2題、バイオの梶谷教授が1題問題を出して、各問いが20点で、合計100点として算出します。
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6. |
使用テキスト及び使用教材 |
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塩川・小松の講義用に、塩川光一郎著:生命科学を学ぶ人のための大学基礎生物学:共立出版、をテキストとして用いるようにします。
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7. |
その他 |
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これは国家試験を意識しない純粋に学問のための講義、という風に上に説明していますが、その実、この講義の内容は特に「生理学」の国家試験勉強の基礎として非常に役立つものであります。また、基礎医学・医学概論その他の講義の基礎としても大事でありますので、ぜひとも受講し、単位を取得するようにお勧めします。
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