Web Syllabus(講義概要)

平成23年度

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入門ゲーム論 I 小島 寛之
選択必修  2単位
【経済】 11-1-1110-0211-05

1. 授業の内容(Course Description)
 ゲーム理論は、ゲームでの戦略とプレーの結果として行き着く結末を分析する分野である。諸君は、「ゲーム」というと、ファイナルファンタジーやオンラインゲーム、あるいはトランプや将棋、はたまた野球やサッカーを思い浮かべることと思うが、それらもすべてゲーム理論の分析対象である。しかし、これらのゲームは構造があまりに複雑で、ゲームと戦略そのものを定義するだけでも膨大な時間を要する。したがって、ゲーム理論では、これらの広汎なゲームのエッセンスだけを抽出し、もっと単純な構造のゲーム(例えば、じゃんけんのようなゲーム)に還元させて分析する。
 ゲーム理論は、フォン・ノイマンとモルゲンシュテルンが1944年に提示してから、多くの分野に波及し、現在では数学、経済学、生物学、統計学、心理学、法学、政治学など様々な分野で研究されている。本講義は、経済学部での講義であるため、経済分野への応用を見据えて構成することとする。例えば、寡占競争、オークション、貿易問題、賃金契約、金融政策など幅広い問題がゲーム理論によって分析可能である。
 ゲーム理論は、全体としては高度に数学的であるが、そのコンテンツ自体は身近なものであり数学的な基礎がなくても十分に理解できる。したがって、本講義では、数学をほとんど使わず、ゲーム理論の面白い部分だけを習得していただくことを目標とする。そのためにも、できる限り毎回、分析しているゲームを実際にプレーしていただくことにする。真剣さを持ってプレーしてもらうために、ゲームの獲得得点を成績評価に反映させる。
 ゲーム理論は、おおまかに分けると、戦略型ゲーム(ワンショットのゲーム)と展開型ゲーム(手番で進行するゲーム)の二種類がある。前期には展開型ゲームを講義する。前期の講義内容は、展開型ゲームの定義、ゲームの木、バックワードインダクション、交渉ゲーム、参入ゲーム、、動学的不整合性など。
2.
授業の到達目標(Course Objectives)
 展開型ゲームの記述の仕方とバックワードインダクションを理解すること。
3.
成績評価方法(Grading Policy)
 できる限り毎回、課題を行う。課題は、実際にゲームをプレーすることもあれば、均衡戦略を求める問題演習のこともある。それらの結果を出席ボーナス点として成績に反映させる(30点程度)。それに期末テスト(70~80点満点)の点数を加えて成績評価する。履修カードの提出、カードリーダーの出席記録、問題演習の提出が不足の場合、期末テストの受験資格を与えないので注意すること。
4.
テキスト・参考文献(Textbooks)
 講義中に指示する。
5.
授業時間外の学習《準備学習》(Assignments)
 次の講義までに前回の講義の復習を60分程度行うこと。
6.
学生への要望・その他(Class Requirements)
 必ず出席して、課題をこなし、ボーナス点を獲得すること。出席回数の少ない学生は単位を取得できない可能性が高いので、あまり出席しない( できない)学生(特に4年生)は、履修しないで欲しい。
7.
授業の計画(Course Syllabus)
【第1回】
 講義ガイダンス~講義の内容、単位取得方法などを説明
【第2回】
 ゲーム理論とは何か
【第3回】
 展開型ゲームの定義〜ゲームの木
【第4回】
 交渉ゲーム:実験
【第5回】
 バックワードインダクション
【第6回】
 交渉ゲームの均衡の分析
【第7回】
 参入ゲーム:石油自由化の実例分析
【第8回】
 参入ゲームをバックワードインダクションで解く
【第9回】
 参入ゲーム:裁量とルールの問題
【第10回】
 政府に裁量がある場合をバックワードインダクションで解く
【第11回】
 動学的不整合性の問題
【第12回】
 ルール化の場合をバックワードインダクションで解く
【第13回】
 ルールと裁量と動学的不整合性の関係
【第14回】
 部分ゲーム完全均衡
【第15回】
 講義の遅れに対する調整または最終演習