Web Syllabus(講義概要)

平成23年度

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比較産業論特講 II 和田 正武
選択  2単位
【経済学専攻】 11-1-1110-0584-08

1. 授業の内容(Course Description)
 比較産業論特講Iに引き続き、産業活動を分析する別の方法を学び、多様な産業の特徴を別の角度から把握することに努める。また、特講IIでは半導体産業、自動車産業、物流業をとりあげ、その発展の足取り、現在の問題を分析し、将来に向けての変容と発展の可能性を考えるとともに、産業による違いを把握し、産業への理解を深める。適宜、日本以外の国(韓国、台湾、中国など)との比較も行う。
2.
授業の到達目標(Course Objectives)
 与えられた研究課題に対し、自主的に調査研究できる能力を高める。収集した文献を読み、概要をまとめ、また統計資料の処理や分析を行い、報告書のまとめ方など実践力を養う。期末には関心ある産業を選択し、その産業に関するレポートをまとめ提出する。
3.
成績評価方法(Grading Policy)
 通常の授業での発言、発表などの活動状況を評価する。また適宜課題を与えレポートを提出、それを評価する。更に、期末にはレポートの提出を求め、その内容を評価する。
4.
テキスト・参考文献(Textbooks)
 各種統計資料(工業統計、貿易統計、直接投資統計など)、『日本産業史1~4』(日経文庫)『日本戦後産業史』(東洋経済)、『日本半導体起死回生の逆転』(東洋経済)、トヨタの新かんばん方式、その他、関係の学術論文を適宜知らせる。
5.
授業時間外の学習《準備学習》(Assignments)
 学術論文を紹介するので、論文を読み、論文の書き方、形式、論理の進め方、文献やデータの扱い方などを自分で学ぶこと。また日頃から新聞の経済欄、経済雑誌には目を通しておくこと。
6.
学生への要望・その他(Class Requirements)
 前期の比較産業論Iを履修していることが望ましい。産業活動に関心があり、自分で産業の分析をしたいと思っている意欲ある学生。
 自分の意見を持ち、また人の意見にも関心を示し、ディスカッションできる学生。
7.
授業の計画(Course Syllabus)
【第1回】
 イントロダクション
 前期の授業で学んだ産業分析の手法を簡単に復習し、また、後期の授業の計画を紹介する。
【第2回】
 産業の成長力(1)
 工業統計表により、産業毎の成長率の違い、時代による変化をみる。その中で産業に成長産業と衰退産業があること、しかし、長く成長を維持する産業もあることなどを理解する。その理由を考える。
【第3回】
 産業の成長力(2)
  産業の成長を支えるものはなにか?研究開発活動と新製品の発生、競争力とは?また新しい産業の発生のメカニズムを考える。産業のライフサイクルを銀塩フィルムカメラからデジタルカメラへの変化の中で理解する。
  課題:日本のデジタルカメラ産業の発展プロセスについて、事例研究する。
【第4回】
 日本の自動車産業の発展史(1)
  戦前の発展水準と戦後の再出発。外国技術導入と国産技術、高度成長期の自動車産業。下請け構造の成立。
  課題:テキストを配り、事前に読んでおくこと。
【第5回】
 日本の自動車産業の発展史(2)
  海外への発展、日米貿易摩擦、石油危機、海外展開。環境対策。新しい自動車産業の動き。
【第6回】
 日本の自動車産業の強さと特徴
  トヨタ生産方式とすり合わせ理論について。
  課題:論文輪読
【第7回】
 新しい自動車産業論
  日産のリバイバルプランと系列構造の変質。電気自動車の今後とその自動車産業に与える影響。中国の自動車産業の今後。
  課題:論文輪読
【第8回】
 半導体産業論(1)
  世界、日本の半導体産業発展の歴史、その特徴を理解する。科学と産業の結びつき。技術革新による価格の低下、市場拡大のサイクルの継続。
【第9回】
 半導体産業論(2)
  日米半導体戦争、先端技術の技術移転と韓国・台湾の半導体産業の台頭。半導体の種類と競争力。国際分業、特に垂直統合型から機能水平分業型へ。ファウンドリーとファブレス企業の発展。これからの半導体産業。半導体が社会に及ぼす影響。ユビキタス社会の到来。
【第10回】
 半導体産業論(3)
  韓国の半導体産業の発展史と貿易構造。台湾の半導体産業の発展プロセス。モジュール技術を基にする産業のキャッチアッププロセス。自動車産業との違い。
  課題:論文輪読
【第11回】
 地域と産業活動(1)
  産業構造の変化が地域経済にいかなる影響をおよぼすか?いくつかのケーススタディ。
【第12回】
 地域と産業活動(2)
  産業構造の変化が地域経済にいかなる影響をおよぼすか?いくつかのケーススタディ。
【第13回】
 産業活動と環境問題
  環境ビジネスの特徴、成立基盤。規制政策と産業活動。これからの産業活動。ディスカッション。
【第14回】
 産業政策論
  日本の産業政策史。産業政策とは?産業活動への政府の介入はいかなる時に許されるか?
  中国の産業政策。日中比較。
【第15回】
 まとめ
  レポート取りまとめ。