Web Syllabus(講義概要)

平成23年度

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不法行為法 長谷川 成海
選択  2単位
【法律】 11-1-1210-0425-05

1. 授業の内容(Course Description)
 不法行為とは、人が他人に損害を加えた場合に、一定の要件のもとで被害者に対する損害賠償責任を加害者に負わせる制度である。言い換えれば、他人の権利や正当な利益を侵害した加害者が被害者に損害賠償をすることによってその損害を填補し、被害者の救済を図る制度である。
 個人が偶然の事故によって他の個人の財産を損傷したりケガを負わせたりする古典的な不法行為類型から、自動車事故、公害、医療過誤、製造物責任などの現代型不法行為、そして、侵害される利益が時代とともに変化してきた名誉毀損やプライバシー侵害のような不法行為類型まで、不法行為制度は幅広い「損害」に適用される。そして不法行為は、民法709条を中心として、様々な特別法が制定され、経済や技術、そして権利概念の発展とともに大きく変遷してきた領域である。
 この授業では、不法行為の基礎的な理論を学習し、不法行為の適用事例に則して、改めて私法(民法)上の様々な権利の特色を検討していきたい。
2.
授業の到達目標(Course Objectives)
 不法行為の基礎理論を学習し、その上で、民法の体系的理解を深めたい。
3.
成績評価方法(Grading Policy)
 WebCTを用いた試験により評価する。試験問題は、毎回の授業で解く演習問題を基礎とする。
4.
テキスト・参考文献(Textbooks)
 テキスト:吉村良一『不法行為法』(第4版)有斐閣
 六法:『岩波基本六法2011』を推奨する。
5.
授業時間外の学習《準備学習》(Assignments)
 毎回の授業後、その回の授業のノートを読み、演習問題を再度解いて復習して次の授業に臨むこと。
6.
学生への要望・その他(Class Requirements)
 民法科目の中では、とっつきやすい分野だが、奥は深い。物権、債権から家族法上の権利にいたる様々な権利が関わるため、民法全体の理解を深めるのに役立つ科目でもある。
 テキストと六法を持参の上で授業に出席してもらいたい。
7.
授業の計画(Course Syllabus)
【第1回】
 イントロダクション
【第2回】
 不法行為とは何か
【第3回】
 過失責任原則
 責任保険その他の救済制度と不法行為との関連
【第4回】
 民法709条の構造
【第5回】
 利益侵害と違法性
【第6回】
 故意と過失
【第7回】
 過失の判断要素としての注意義務
【第8回】
 損害
【第9回】
 因果関係
【第10回】
 不法行為訴訟における証明責任
【第11回】
 損害賠償請求権
【第12回】
 損害賠償の範囲
【第13回】
 損害賠償額の算定
【第14回】
 不法行為損害賠償請求権の特質
【第15回】
 まとめ