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授業の内容(Course Description) |
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西洋の文学の基礎となるギリシャ神話を取り扱う。 古代ギリシャ文学、古代ローマ文学、中世イタリア文学、中世フランス文学、現代の英米文学、ドイツ文学とも関係してくるため、ギリシャ神話は優れて比較文学に適した題材である。ただし、文学を比較することよりも大切なことは、文学テキストそのものの読み解き方である。正確な理解の後に始めて比較が成立するのであり、独善的な(独りよがりな)解釈は、文学研究そのものを歪めてしまう。そこで本講義ではギリシャ神話を題材にテキストの正しい読み方を教授する。そのなかで、象徴や寓意、歴史的背景や多次元解釈の仕方などを具体的に説明する。この授業では、すでに本に書いてあるような、ありきたりの内容は一切扱わない。すべてオリジナルなものであり、翻訳も私自身のものである。このため、教科書は存在しない。その点、他の授業とはまったく異なる。詳しくは、授業計画を参照のこと。
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授業の到達目標(Course Objectives) |
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本授業を通して、テキストの解釈力を身につけることを第一目標とする。 これを身につけることで、自分の研究対象が何であれ~文学作品であれ、新聞記事であれ~、あらゆるものを深く精緻に読み解く能力が飛躍的に高まるはずである。
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成績評価方法(Grading Policy) |
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期末試験による。
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テキスト・参考文献(Textbooks) |
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すべてこちらでテキストを作成し、配布する。従って、学生が購入・用意する物は何もない。
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授業時間外の学習《準備学習》(Assignments) |
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授業の予習は一切必要はない。その代わり、復習として毎回授業の後、授業で説明した内容を自分なりにまとめてノートを作成しておくこと。(試験に持ち込み可)というのも、授業で扱う内容は、日本語で出版されたものがなく、本講義独自のオリジナルなものだからである。 そのため、インターネットや他の書籍でこの授業を補うことはできない。 授業中に聞き取って、自宅で作成した各自のノートが教科書となる。
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学生への要望・その他(Class Requirements) |
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毎回高度な内容を扱うので、必ず、毎回出席すること。 新しい語学を学ぶのと同じで、途中が抜けてしまうと、話の意図が解らなくなってしまう。 なお、授業中は私語は厳禁。口よりも手を動かすこと。
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授業の計画(Course Syllabus) |
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【第1回】 l'explication de texte(テキスト解釈の仕方) フルゲンティウス(A.D.467-532)『テーバイス注解Super Thebaiden』 【第2回】・【第3回】 以下の作品などを用いながら、神話の基本的な意味を説明する。 ヘーシオドス(B.C.750頃-680頃)『神統記』、 ホメーロス(B.C. 8世紀)『オデュッセイア』、 ウェルギリウス(B.C.70-B.C.19)『アエネーイス』、 ルクレーティウス『宇宙の本性について』 トマス・アクイナス『アリストテレースの気象論注解』、 マクロビウス(4世紀末)『スキーピオーの夢注解Commentarii in Somnium Scipionis』、 セルウィウス(4世紀)『アエネーイス注釈』 【第4回】・【第5回】 アレゴリーの解釈の仕方(+現代物理学との関連)を学ぶ。 セネカ『恩恵について』、ルクレーティウス『宇宙の本性について』序歌 を用いてアレゴリーを説明する。 なお、絵画作品を用いながら、寓意画の説明も行なう。 【第6回】・【第7回】 象徴の解釈法(+現代生物学との関連)を学ぶ。 ヘーシオドス『神統記』と『労働と日』からプロメーテウス神話を扱う。 【第8回】 植物神話(+現代心理学との関連)を学ぶ。オウィディウス『変身物語』 【第9回】 ナルキッソス神話とエーコー神話を学ぶ。オウィディウス『変身物語』 【第10回】 警告神話(+生態学との関連)を扱う。①アンタイオス ルーカーヌス(A.D.39-65)『内乱賦』 【第11回】 ミダース王の神話(+経済学との関連)を扱う。オウィディウス『変身物語』 【第12回】 ミダース王神話読解。3つの次元での解釈を扱う。 【第13回】 日本民話『舌切雀』や『アラジンと魔法のランプ』、 『アーサー王とエクスカリヴァー』、『オデュッセウスと太陽神の島』 といった物語で、応用問題を自分で解いてみる。 【第14回】 予備日 【第15回】 まとめと試験
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