Web Syllabus(講義概要)

平成23年度

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外交史A 小池 寛治
選択  2単位
【法律】 11-1-1210-0683-01

1. 授業の内容(Course Description)
 「外交史」という授業名ですが、正確に言うと「近代・現代日本外交史」の授業です。
 世界史と日本史の大学入試問題を私がやってみたら、歯が立たず、何故だろうと考えた。私なりの答えは、試験問題が近代や現代の歴史をほとんど取り上げず、古代や中世に比重を置きすぎているだけでなく、ひとえに「暗記力」を試す質問であり、あたかも歴史には“正解が一つある”との誤った幻想に捉われているのではないかと考えました。
 歴史とは、ある時代の社会や政治の動きにつき「考える学問」であって、決して「丸暗記」するものではないと私は信じます。外交の歴史は、「必然」の産物ではなく、ある国が置かれた時代の風潮や環境などの国際環境と、その国の国力(軍事力・経済力など)、国内政治の流れや世論の枠組みの中での「選択の結果」に他ならないと思います。
 私の39年間の外交官人生を通じて学んだことをも踏まえ、授業を通じて、日本の置かれた国際環境を客観的に見つめ、日本の進むべき道を学生諸君と一緒に考える。その為の基礎的な事実や考え方を学生諸君に学んで貰うのが授業の内容です。
2.
授業の到達目標(Course Objectives)
 春学期の外交史 A では、近代の日本外交、即ち、19世紀半ばの黒船来航・開国から第2次大戦の敗北・占領期に至るまでの期間の日本外交の歴史を講義します。日本が開国以来、近代化を進め西欧の列強諸国と並ぶまでになったにもかかわらず、日中戦争などから、遂に、太平洋戦争に突入し、敗戦・占領に至った期間の試行錯誤の日本外交の歴史を学びます。
3.
成績評価方法(Grading Policy)
 出席率、小テスト(随時)、期末テストを総合して評価します。歴史は「考える学問」であり、いわゆる「暗記物」ではないという私の信念に従い、小テスト及び期末テストは、教科書及びノート・配布資料の持ち込みは自由です。しかし、安心することなかれ!学生諸君が夫々努力して考えなければ出来ないような質問にします。また、携帯電話と電子辞書の使用は禁止します。
4.
テキスト・参考文献(Textbooks)
 教科書:『日本外交の軌跡』 細谷 千博 著 NHKブックス(¥920)
 その他の参考文献は、そのつど紹介します。
5.
授業時間外の学習《準備学習》(Assignments)
 教科書を予じめ読んできて下さい。
6.
学生への要望・その他(Class Requirements)
 新聞を毎日読むこと。特に、日本の政治や国際関係に興味を持って欲しい。
7.
授業の計画(Course Syllabus)
【第1回】
 オリエンテーション。授業の目的と進め方について説明します。受講希望生及び迷っている学生は、必ず出席すること。
 帝国主義時代の中の幕末日本と鎖国政策。黒船来航、攘夷か開国か?
【第2回】
 開国と不平等条約の改正交渉。遣欧使節団の派遣。征韓論か?近代国家の建設か?領土問題の解決。
【第3回】
 朝鮮半島を巡る日本と清国との抗争、日清戦争。「大陸国家」か「海洋国家」か?外交と軍事は車の両輪;日清講和条約と三国干渉、陸奥宗光外交。
【第4回】
 西欧列強による中国分割。ロシアの南下政策・極東進出と日本外交の選択。日英同盟か日露協商か?日露戦争。小村寿太郎外交とポーツマス講和条約。
【第5回】
 帝国主義列強への仲間入り。日米間の緊張。朝鮮の併合・植民地化。
【第6回】
 第一次世界大戦と日本の対独参戦。中国大陸への進出とパリ講和会議。
【第7回】
 ロシア共産主義革命と共同干渉、シベリア出兵。
【第8回】
 仮想敵国アメリカとの軍艦建造競争。ワシントン条約体制と幣原喜重郎外交。日英同盟の解消。
【第9回】
 世界経済恐慌。満州事変と国際的孤立。日本軍部の政治支配。国際連盟からの脱退。
【第10回】
 国際体制の現状打破。ナチス・ドイツの台頭と日独伊三国同盟。
【第11回】
 日中戦争。
【第12回】
 日米の対決、真珠湾攻撃。太平洋戦争・敗戦・占領。
【第13回】
 占領からサンフランシスコ講和条約へ。吉田 茂 外交。
【第14回】
 近代日本外交100年の転換点。
【第15回】
 総括。期末テスト。