Web Syllabus(講義概要)

平成23年度

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刑法総論A 五島 幸雄
必修  2単位
【法律】 11-1-1210-1572-01

1. 授業の内容(Course Description)
 刑法を学ぶ初心者を対象とすることから、先ず何よりも刑法に興味・関心を持ってもらうことが必要不可欠なので、授業の一環として、その都度マスコミに報道される事件等を取り上げて、日常生活で生起する事象を刑事法的観点から検討を加え、その問題点、対策、課題等につき簡明に、かつ、興味深く説明する。その上で、刑法総論の授業にとって重要な「犯罪論」の体系と理論を的確に理解することができるように、基本的項目と具体的事例問題を掲載したテキスト(下記4参照)を使用し、きめ細かな授業(講義)を行うことにより、学説や判例及び実務における問題解決方策等を習得させ、法学部で法律を学ぶ学生として必要な法的感覚、法的思考能力の涵養を図る。
2.
授業の到達目標(Course Objectives)
 刑法総論の概略、特に犯罪論の体系を目次形式に繰り返し頭に入れて記憶(暗記)し、かつ、刑事法関係の勉強に必須のいわゆる法律用語を読み・書き・話すことができるようになること、その上で、各種犯罪に共通する犯罪の成立要件を理解し、具体的事例における刑事事件の分析、検討及び法的解決への道筋を簡明に説明する能力を磨かせ、引き続き刑法総論Aから刑法総論B、さらには刑法各論への勉強に意欲を湧かせるとともに、将来への展望として教育的な指導能力も身に付けさせる。
3.
成績評価方法(Grading Policy)
 授業への出席を重要視し、テキストに掲載された事例問題の検討、質疑応答等における積極性、自主性を勘案した上で、いわゆる出席状況・勉学意欲を60%の割合で評価した上、定期試験(又は授業内ペーパーテスト)の結果を40%の割合で加味し、総合的に判断する。
4.
テキスト・参考文献(Textbooks)
 テキスト(基本書)としては、五島幸雄著―『実務に即した刑法総論』(成文堂)を使用するほか、刑法及び刑事実務等に興味を持てるものとして、五島幸雄著―『熱血検事駆ける!(第2版)』(法学書院)の併読を勧める。その他の参考文献は、下記参考欄記載のとおりである。
 (参考)中山研一著―『口述刑法総論(新版補訂2版)』『口述刑法各論(補訂2版)』(成文堂)
六法全書(各出版社)―『判例六法』(有斐閣)、『ポケット六法』(有斐閣)、
           『セレクト六法』(岩波書店)
5.
授業時間外の学習《準備学習》(Assignments)
 事前にテキストにより、授業の計画に記された項目を読んで予習しておくこと、そしてテキストを読むに当たって、必要ならば六法全書で関係条文を探して、いずれも法律用語、漢字等を間違いなく読めるようにしておく必要がある。
6.
学生への要望・その他(Class Requirements)
 原則として講義形式の授業であるが、テキスト記載の基本的項目と具体的事例問題について、学生全員から一緒に声を出して読んでもらったり、指名する学生から事例問題を読んでもらってその問題に答えてもらうほか、その答の賛否を出席者に挙手で尋ねたりするので、学生は、遅刻せずに出席し、かつ、早退しないことが最も大切であり、できるだけ予習・復習を欠かさずに積極的に授業に参加する態度が望ましい。そして、法律の専門職を目指すと否とにかかわらず、刑事関係の法律に興味を持って、授業を楽しみながら、いわゆる実学を通して刑法理論や刑法の社会的機能を学んで欲しい。また、授業出席に際して、刑事関係法令掲載の六法全書の携帯は必須である。
7.
授業の計画(Course Syllabus)
【第1回】
 授業開始に当たっての導入説明(授業の進め方等)
 序 論1 日本の司法制度
 (1) 裁判所、検察庁、警察、被告人・被疑者、弁護士
 (2) 刑事事件の流れと裁判員制度
 (3) 授業の進め方
【第2回】 
 序 論2 刑法の基礎知識
 (1) 刑法の意義
 (2) 刑法の分類
 (3) 刑法の機能(一般予防・特別予防、法益保護、人権保障)
 (4) 刑法理論(古典学派、近代学派)
【第3回】
 序 論3 罪刑法定主義
 (1) 意義と沿革
 (2) 実定法上の根拠
 (3) 具体的内容(成文法主義、類推解釈の禁止、遡及処罰の禁止等)
 序 論4 刑法の適用範囲
【第4回】
 刑事訴訟における捜査手続と公訴の提起
 裁判員裁判の審理
【第5回】
 犯罪論1 犯罪と構成要件
 (1) 犯罪の概念と成立要件(構成要件該当性、違法性、責任)
 (2) 構成要件の意義と機能
 (3) 構成要件要素(客観的要素と主観的要素)
【第6回】
 犯罪論2 構成要件該当性−その1
 (1) 実行行為① 実行行為の意義、実質
     実行行為② 不作為犯(作為犯と不作為犯、不真正不作為犯の成立要件)
【第7回】
 犯罪論3 構成要件該当性−その2
     実行行為③ 間接正犯(意義と本質、成立要件、実行の着手時期)
【第8回】
 犯罪論4 構成要件該当性−その3
 (2) 因果関係(意義と問題点、因果関係に関する学説と判例)
【第9回】
 犯罪論5 構成要件該当性−その4
 (3) 構成要件的故意(意義と体系的地位、要素、種類、未必の故意)
【第10回】
 犯罪論6 構成要件該当性−その5
 (4) 事実の錯誤(意義、態様と分類、学説、判例)
【第11回】
 犯罪論7 構成要件該当性−その6
 (5) 構成要件的過失(意義、過失犯の成立要件、予見可能性)
【第12回】
犯罪論8 違法性−その1
 (1) 違法性の意義    
 (2) 違法性の判断
 (3) 違法性阻却事由   
 (4) 正当行為
【第13回】
 犯罪論9 違法性−その2
 (5) 正当防衛(意義と本質、正当防衛の成立要件)
【第14回】
 犯罪論10 違法性−その3
 (6) 過剰防衛、誤想防衛、誤想過剰防衛 
 (7) 緊急避難(意義と本質、緊急避難の成立要件)  
 (8) 自救行為
【第15回】
 総 括 構成要件該当性・違法性の総復習
 授業内ペーパーテスト(1時間)