Web Syllabus(講義概要)

平成23年度

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不法行為法 楢崎 憲安
選択  2単位
【法律】 11-1-1210-1754-06

1. 授業の内容(Course Description)
 不法行為とは、故意・過失によって他人の権利・利益を侵害することをいい、日本では民法第709条に規定されています。不法行為法は、契約法と並ぶ重要な分野で、交通事故、環境や医療などの分野でさまざまな身体・生命侵害が発生しており、初学者にも比較的入っていきやすい法領域だといえます。
 不法行為は、加害者の故意・過失を前提とする一般不法行為(民法第709条)と、過失責任の原則を修正している特殊不法行為に大別されます。本講義では、一般不法行為について、その意義・役割、不法行為の成立要件(故意・過失、加害行為と損害の因果関係など)、不法行為の効果(損害賠償責任、差止請求など)について解説し、不法行為法の仕組みや救済方法について学びます。
 なお、特殊不法行為については、秋期の特殊不法行為法で検討することとしています。
2.
授業の到達目標(Course Objectives)
 今日の不法行為法は、古典的な不法行為法とはかなり変容してきています。この講義では、一般不法行為の全体像を理解すると同時に、社会の変化に対応して、不法行為法はどのように適用対象を広げ、また、要件効果の面でも変容してきたかを理解できることを目標とします。
3.
成績評価方法(Grading Policy)
 期末試験を中心に、授業内の小テストなどの平常点を勘案して、総合的に評価します。期末試験のウエイトが60%、小テストなどの平常点40%。
4.
テキスト・参考文献(Textbooks)
 講義概要をまとめたプリントを事前に配布し、また、必要に応じて参考資料を用意することにしています。
 特に教科書は指定しませんが、内田貴『民法II 債権各論(第2版)』(東京大学出版会)は、分かりやすさを重視した教科書であり、また、『民法判例百選II 債権 第6版』(別冊ジュリスト176号2005)も有用です。
5.
授業時間外の学習《準備学習》(Assignments)
 配布したプリント・参考書を一読してください。
6.
学生への要望・その他(Class Requirements)
 身近な法分野ですが、条文数はわずかで、不法行為法は判例法であるといえます。事例解説を中心に授業を進めるので、『民法判例百選II 』を熟読することを薦めます。
7.
授業の計画(Course Syllabus)
【第1回】
 イントロダクション(授業計画・成績評価など)、不法行為責任のポイント
【第2回】
 不法行為法の意義と役割
【第3回】
 不法行為法の全体像
【第4回】
 不法行為の要件(故意・過失)
【第5回】
 不法行為の要件(過失の認定と推定の事例)
【第6回】
 不法行為の要件(権利・利益侵害)
【第7回】
 不法行為の要件(損害の発生と因果関係)
【第8回】
 不法行為の要件(因果関係の立証)
【第9回】
 責任能力と不法行為責任の阻却事由(正当防衛・緊急避難など)
【第10回】
 不法行為の効果(賠償額の算定・物損の金銭的評価)
【第11回】
 不法行為の効果(身体・生命の侵害による損害の金銭的評価、精神的損害)
【第12回】
 不法行為の効果(賠償額の範囲、賠償額の減額調整)
【第13回】
 損害賠償請求権者
【第14回】
 消滅時効、原状回復・差止請求
【第15回】
 まとめと試験