Web Syllabus(講義概要)

平成23年度

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保育制度論 村山 祐一
選択  2単位
【教育】 11-1-1330-0531-09

1. 授業の内容(Course Description)
 少子化対策や子育て支援策が展開されるなかで、幼保一元化、幼保一体化、総合施設化、保育所の民営化、企業参入等保育所と幼稚園制度にかかわる問題が社会問題化しています。これらの論議をみると、必ずしも現行の保育制度をきちんと理解した上でされているとは言い難い内容もあり、混乱と混迷が続いているといっても過言ではないのです。この授業では、現行の保育所・幼稚園の制度について理解を深め、その法的仕組みや保育政策の変遷、自治体行政や保育所運営の実態について総合的な検討を行います。さらに、保育施設経営・運営のあり方、保育制度や政策、子育て支援の課題について総合的に探求します。とりわけ、国際的には、21世紀は乳幼児の権利の時代と言われるなど、乳幼児の視点から問題を考えることがきわめて重要になっています。
2.
授業の到達目標(Course Objectives)
 戦後の日本の保育所制度と幼稚園制度や子育て支援策を概観しながら、保育制度や子育て支援策の全般的特徴についての理解を深め、乳幼児の権利保障の視点から検討を行います。さらに子どもの生活環境や親の子育て環境、地域の保育所・幼稚園の状況や子育て支援の諸課題をふまえつつ、保育経営のあり方、幼保一元化等制度や自治体の保育行政のあり方について総合的に探求できることを目標とします。
3.
成績評価方法(Grading Policy)
 授業への参加態度、報告・レポート等、テストをもとに総合的に評価する。
4.
テキスト・参考文献(Textbooks)
 テキスト:村山祐一『子育て支援後進国からの脱却-子育て環境格差と幼保一元化・子育て支援のゆくえ』(新読書社刊)
      村山祐一『もっと考えて、子どもの保育条件』(新読書社刊)
 参 考 書:保育研究所編『保育白書 2010年版』(ちいさいなかま社刊)
5.
授業時間外の学習《準備学習》(Assignments)
 テキストを前もって読むなど準備学習をおこない、討議に参加できるよう準備することが望ましい。
6.
学生への要望・その他(Class Requirements)
 授業はテキストを中心にすすめるが、学生からの報告・質疑をふまえすすめるという手法も取り入れるため、積極的に報告することを期待します。また、新聞などマスコミで取り上げられる保育問題にも関心を持ってください。
7.
授業の計画(Course Syllabus)
【第1回】
 オリエンテーション、
 授業の目的・内容とすすめ方等について
【第2回】
 子育て環境と保育制度の課題
 ① 父親・母親の労働環境
 ② 家庭育児の状況
【第3回】
 保育所・幼稚園の制度の仕組みについて(1)
 ① 保育を受ける権利と保育制度
 ② 福祉と教育について
【第4回】
 保育所・幼稚園の制度の仕組みについて(2)
 ① 保育所制度の骨格
 ② 幼稚園制度の特徴
【第5回】
 保育所・幼稚園の制度の仕組みについて(3)
 ① 自治体の保育責任
 ② 次世代育成支援計画の策定
【第6回】
 保育所最低基準と幼稚園設置基準について
【第7回】
 保育財政と保育所・幼稚園運営について(1)
 ① 保育所・幼稚園の国の財政制度のしくみ
【第8回】
 保育財政と保育所・幼稚園運営について(2)
 ① 自治体の保育財政と保育所・幼稚園運営
【第9回】
 自治体の保育行政と課題について
 ① 保育所等の民営化問題
 ② 保育料、待機児対策等
【第10回】
 戦後保育制度の歩み(1)
 ① 新しい保育制度の発足と混迷期(1945~1950年代)
 ② 保育所づくりと幼稚園・保育所の量的拡大期(1960年代)
【第11回】
 戦後保育制度の歩み(2)
 ③ 現行保育制度の普及と保育制度論の台頭(1970年代)
 ④ 保育所抑制政策と低迷期(1980年代)
【第12回】
 戦後保育制度の歩み(3)
 ⑤ 保育所活用政策への転換と子育て支援(1990年代)
 ⑥ 規制緩和政策と少子化対策−保育制度の転換期(2000年代)
【第13回】
 幼保一体化と幼保一元化論について(1)
 ① 保育所と幼稚園の共用化
 ② 幼保一元化論とは何か
【第14回】
 幼保一体化と幼保一元化論について(2)
 ① 戦後の幼保関係ー論・一元化論の系譜
 ② 子どもの権利保障と制度論のあり方
 ③ 幼保一元化と施設経営
【第15回】
 まとめ