Web Syllabus(講義概要)

平成23年度

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東洋史概説 I 愛宕  元
必修  2単位
【史】 11-1-1340-1680-05

1. 授業の内容(Course Description)
 中国の歴史は新石器定住農耕文化の発祥以来、王朝の成立を経て現代中国に至るまで、いくつかの遊牧系・狩猟系の異民族による「征服王朝」の時代が介在したものの、伝統と文化の断絶のない唯一の歴史世界である。したがって、中国の歴史を知るためには時間軸に沿った通史としての理解がきわめて重要となる。
 春期の講義は7世紀の唐代から始める。隋によって270年ぶりに達成された全国統一を継承した唐王朝は、初期の時点で国家体制の基盤を確固たるものにして、290年の長きにわたる命運を保った。我が国を含めて、北アジア世界や東アジア世界への影響もはかり知れないものがある。30年来の中国現地踏査での見聞や体験をまじえながら講義を進める予定である。
2.
授業の到達目標(Course Objectives)
 中国史固有の歴史的な専門用語、歴史上の著名な人物や歴史的地名、時代経過による歴史世界の広がり、そして現代中国との関連性を理解することを目標とする。
3.
成績評価方法(Grading Policy)
 学期末の試験で評価する。
4.
テキスト・参考文献(Textbooks)
 テキスト:愛宕元・冨谷至編『中国の歴史 上』(昭和堂 2,300円)
5.
授業時間外の学習《準備学習》(Assignments)
 数多くある唐代史に関する概説書の2・3種類を通読しながら、本講義を受講してほしい。それによって本講義の内容がいわゆる型どおりの通説とは異なるユニークなものであることが理解できるであろう。
6.
学生への要望・その他(Class Requirements)
 現代中国を知るためにも、その背景にある長い断絶のない中国の歴史展開の理解は欠かせない。中国やその歴史に関心のある人はぜひ受講してほしい。
7.
授業の計画(Course Syllabus)
【第1回】
 北魏の分裂から東西魏・北周・北斉・隋に至る歴史展開の概観
【第2回】
 隋唐政権を特徴づける胡漢混淆勢力について
【第3回】
 唐室李氏ははたして純粋の漢族出身なのか
【第4回】
 隋末の大動乱と唐の成立過程
【第5回】
 唐初代高祖李淵から2代太宗李世民への帝位継承の不明朗さ
【第6回】
 太宗の「貞観の治」の虚像
【第7回】
 3代高宗と武皇后(則天武后)
【第8回】
 則天武后の皇帝即位、中国史上で空前絶後の女帝の登場
【第9回】
 則天武后に対する後世の毀誉褒貶、ただしほとんどは否定的評価
【第10回】
 則天武后・中宗韋皇后・太平公主ら皇親女性の政治介入(「武韋の禍」)を排して玄宗の即位
【第11回】
 皇帝親政を回復した玄宗前半期と「開元の治」
【第12回】
 玄宗後半期の政治弛緩、玄宗の楊貴妃への溺愛が主因
【第13回】
 絶世の美女楊貴妃の容貌、近年発見の遼墓壁画、楊貴妃墓と伝えられる墓の現状
【第14回】
 政治弛緩が生み出した安禄山・史思明の大反乱(安史の乱)、唐代社会の大混乱
【第15回】
 乱後の大きな社会的構造変化、中央集権から軍閥(節度使)の各地での割拠状態
 学期末試験を実施