Web Syllabus(講義概要)

平成23年度

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東洋史籍講読2C- I 愛宕  元
選択必修  2単位
【史】 11-1-1340-1680-07

1. 授業の内容(Course Description)
 中国史研究の基本である史料(中国古典文、漢文)の講読を通して、中国史独自の歴史展開への理解を深めるとともに、漢文の読解力を修得する。テキストは、編年体(年代記方式の歴史叙述)の代表である北宋の司馬光が編纂した前403~959年までのおよそ1400年間の詳細な通史である『資治通鑑』を用いる。春期は三国時代の中期である魏の3代目明帝曹睿の太和6年(西暦232、蜀漢後主劉禅の建興10年、呉主孫権の嘉禾元年)から読み始める。
2.
授業の到達目標(Course Objectives)
 漢文史料の基本的な読み方を輪読を通して修得し、歴史とは史料を読み込むことによってこそ本当のおもしろさが見出せることを理解することが目標である。
3.
成績評価方法(Grading Policy)
 出席を最も重視する。毎回の当番者の読み方を聞きながら読解力を深め、自分の当番の際に十分に反映させることが求められる.出席回数、当番時における読解力、数回の小テストを総合して評価する。
4.
テキスト・参考文献(Textbooks)
 テキストは、北京中華書局版の校点本『資治通鑑』をコピーして配布する。
5.
授業時間外の学習《準備学習》(Assignments)
 三国時代に関する一般概説書の他、関連するビデオ、DVDなどを出来るだけ多く春期を通して見い出し、活躍する人物、主要な戦争の行なわれた場所などについての知識を深めることが、本講読に大いに役立つはずである。そのために十二分に図書館を活用することを推奨する。また当番者以外でも次回の講読範囲を予習しておくこと。
6.
学生への要望・その他(Class Requirements)
 必ず予習して授業に出席することを強く望む。漢和辞典(電子辞典でも可)は常に持参すること。
7.
授業の計画(Course Syllabus)
【第1回】
 ガイダンス、漢和辞典の紹介と使用法、とくに部首引と正字(旧漢字)について、『資治通鑑』が魏の年号によって編年するという叙述形式の意味、『通鑑』の歴史研究上での史料的価値、胡三省の注(胡注)
【第2回】
 巻72魏明帝太和6年(232)正月~10月 遼東の公孫淵が海路より孫呉と通じ、曹魏からの自立の動きを強める
【第3回】
 同年11月~12月 魏の明帝は劉備亡き後の蜀漢を併合しようとするが、多くの臣下は時期尚早との慎重論のために断念
【第4回】
 同年12月 魏の杜恕が公正な人材登用について上疏、不明朗な現状を指摘
【第5回】
 青龍元年正月~5月 呉の孫権は臣下の強い反対を押し切って、遼東の公孫淵を燕王に封じる
【第6回】
 同年6月~12月 公孫淵は呉を裏切って魏に接近、怒った孫権は遼東に出兵せんとす
【第7回】
 同年12月 呉の陸遜らが孫権の遼東への出兵に強く反対する
【第8回】
 同2年正月~4月 諸葛亮が木牛・流馬を制作して北伐再開
【第9回】
 同年5月~7月 孫権は魏に対して攻勢に出るが、敗北して遁走
【第10回】
 同年8月 魏が漢の献帝を皇帝の礼をもって禅陵に葬る
      諸葛亮が五丈原の陣中で没す、「死せる諸葛、生ける仲達を走らす」
【第11回】
 同年8月~11月 諸葛亮没後、撤退中の蜀漢軍で魏延と楊儀の反目
【第12回】
 同年12月 没した諸葛亮に対する蜀漢の処遇、呉の対蜀漢政策の新展開
【第13回】
 巻73青龍3年(235)正月~4月 魏の明帝が都城洛陽で大規模な宮殿造営、陳群らが強く諌める
【第14回】
 同年4月 魏明帝が後宮を大拡充せんとするも、高柔・楊阜らの諌めで断念
【第15回】 
 同年4月~7月 魏明帝の奢侈に対する楊阜・蒋済・王基らの諌言、小テスト実施