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授業の内容(Course Description) |
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中国史研究の基本である中国古典文(漢文)の講読を通して、中国史固有の歴史展開への理解を深めるとともに、漢文の読解力を習得する。テキストには、編年体(年代記方式の歴史叙述)の歴史書の代表である北宋の司馬光が編纂した『資治通鑑』を用いる。秋期は三国時代の魏明帝の青龍3年8月(235 蜀漢後主建興13年 呉孫権嘉禾4年)から読み始める。
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授業の到達目標(Course Objectives) |
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漢文史料の基本的な読解力を体得し、多種多様な漢字、とくに旧漢字(正字)に習熟することを目指す。
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成績評価方法(Grading Policy) |
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出席を最も重視する。毎回の当番者の読み方を聞きながら読解力を深め、自分の当番の際に反映させることが求められる。出席回数、読解力、数度の小テストを総合して評価する。
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テキスト・参考文献(Textbooks) |
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テキストは、北京中華書局版の校点本『資治通鑑』をコピーして配布する。本テキストは人名や地名といった固有名詞には傍線を引き、厳密に区別した句読点(。、,)を施すなど、きわめて読み易いものである。
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授業時間外の学習《準備学習》(Assignments) |
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秋期を通して三国時代に関する一般概説書の他、関連するビデオやDVDなども幅広く利用し、この時期に活躍する主要人物、繰り返される戦いの地理的立地、政治制度や文化の有り様などについての幅広い知識を深めることが、本講読に大いに役立つはずである。そのために図書館を十分に活用することを推奨する。また当番者以外も次回の講読範囲を必ず漢和辞典を手元に置いて予習しておくこと。
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学生への要望・その他(Class Requirements) |
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必ず予習をして授業に出席することを強く望む。漢和辞典(電子辞典も可)は常に持参すること。
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授業の計画(Course Syllabus) |
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【第1回】 ガイダンス、漢和辞典の紹介とその上手な使い方、『資治通鑑』が魏の年号で編年するという叙述形式、歴史史料としての価値、胡三省の注(胡注)について 【第2回】 巻73魏明帝青龍3年(235)8月 魏の明帝がさらに崇華殿などの宮殿を造営 【第3回】 同年9~12月 張掖郡の谷水が溢れて宝図(予言書)が出現、魏にとって吉兆となるか 【第4回】 青龍4年(236)正月~12月 呉が「一当五百」(1枚が500銭の高額銅銭)の大銭を鋳造発行 彗星が出現、魏の高堂隆らが天の警告だとして明帝の宮殿増築を諌める 【第5回】 景初元年(237)正月~7月 山東に黄龍が出現し、魏は改元 【第6回】 同年8月~10月 遼東の公孫淵が魏軍を退けて自立し、燕王と自称 【第7回】 同年10月 魏明帝が漢代に造られた巨大な青銅製の駱駝・銅人・承露盤を洛陽に移置しようとするが、重すぎて移し切れず 【第8回】 同年10月~12月 魏の高堂隆らは銅人移置の無謀さを上疏、民政に意を用いるよう諌める 【第9回】 同年12月 魏の崔林らによる公正な人材登用についての上疏 【第10回】 同年12月末尾 上記の人材登用について『資治通鑑』著者司馬光のコメント(臣光曰・・・) 【第11回】 巻74景初2年(238)正月~5月 魏明帝が司馬懿に遼東の公孫淵討伐を命じる 【第12回】 同年6月~8月 司馬懿が公孫淵を平定し、遼東・帯方・楽浪・玄菟4郡が魏の実効支配下に入る(邪馬台国卑弥呼の魏への遣使の障害が無くなる) 【第13回】 同年9月~10月 呉の顧雍・陸遜らが孫権の政治怠慢を諌める 【第14回】 同年11~12月 魏明帝の病状悪化、後事を燕王曹宇・夏侯献・曹爽らに託す、関中の司馬懿は変あるを察して急遽洛陽に戻る 【第15回】 景初3年(239)正月~3月 魏の明帝崩ず、曹爽と司馬懿の権力闘争の開始、小テスト実施
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