Web Syllabus(講義概要)

平成23年度

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戦争史 I 影山 好一郎
選択  2単位
【史】 11-1-1340-1840-01

1. 授業の内容(Course Description)
 「健康」を欲すれば「病気」の勉強が不可欠であるように、「平和」を欲すれば「戦争」の勉強が不可欠である。戦争の勉強は、国益を満たしつつ戦争回避の叡智(ノウハウ)を学ぶのである。また、戦争史は軍事史、戦闘史などとどう違うのか、また、時空(洋の東西、時代の違い)を越えて戦争の本質、戦争の役割と功罪、国家社会との関連や影響等は如何なるものであったか、に関して、いくつかの実例をもって学習し、帰納的に教訓を抽出したい。また、後期(秋学期)においては、西洋における戦争について主要な幾つかの事例を取り上げ、戦争の普遍性、本質を探る。
2.
授業の到達目標(Course Objectives)
 日本の幕末・明治初期において軍隊がどのような背景と経緯でできたのか。後期においては主要な西洋戦史を取り上げ、戦争に関するいくつかの事例を通じて、軍隊の建設、その意義と功罪、並びに、戦争とは何か、戦争は何故起こるのか、戦争の特質、戦争の意義と役割等に関する知識を得る。と同時に、史的考察を通して今後将来の国家運営や個々人の戦争観、生き方に関する見解をもって欲しい。
3.
成績評価方法(Grading Policy)
 出席は重要であり、毎回出席を取る。授業時間内の適時にミニテスト等を行なうと同時に、最終的にテストをもって総合的に評価する。
4.
テキスト・参考文献(Textbooks)
 ① テキストは授業時間に配布する。
 ② 参考文献:
  * 奥村房夫『近代日本戦争史 Ⅰ―Ⅳ』(同台経済懇話会編、平成7年)
  * 古屋哲夫『日中戦争』(岩波書店、1993年)
  * 波多野澄雄『大東亜戦争の時代』(朝日新聞社、昭和63年)
  * 五百旗頭真編『日米関係史』(有斐閣、2008年)
5.
授業時間外の学習《準備学習》(Assignments)
 * 講義資料はA3版両面コピーであるので、学生はファイル保存法を効果的に行うこと。往々にして綴じ方が杜撰になると、どの科目であったか、放漫になり易いので配慮すること。
 * ミニテストを適宜に行なうので、その都度、事前に教員が紹介する資料を参考にすること。
6.
学生への要望・その他(Class Requirements)
 日本国内における戦争の歴史に関する知的活動は、往々にして鈍く、つまみ食い的で学術性が乏しい傾向がある。これは国際社会において日本が応分の責任を果たす資格を自ら放棄しているに等しい。戦争に関する知識に無関心では国際的な責任ある立場を無視しているに等しいからである。将来の日本社会の「平和、戦争及び戦争史に関する知的論議の活性化」に生かして欲しい。
7.
授業の計画(Course Syllabus)
【第1回】
 オリエンテーション(授業目的、到達目標、講義内容の説明)
      戦争史を学ぶ意義。戦争史の範囲等 
【第2回】
 戦争史を学ぶに際しての基本事項
【第3回】
 軍事思想家クラウゼヴィッツの「戦争論」、マハンの「シーパワー論」
【第4回】
 統帥権独立(政軍関係、統帥権独立の功罪)
【第5回】
 日本の古代から近世における戦争と軍隊の意義、国家形成の構造
【第6回】
 幕末日本の避戦と開国、明治政府による新国軍の建設
【第7回】
 日清戦争の背景、原因、戦闘及び日清戦争の歴史的意義
【第8回】
 日露戦争の背景、原因、日英同盟等
【第9回】
 黄禍論と白禍論
【第10回】
 日露戦争における戦闘、ポーツマス条約、日清条約、戦後経営、帝国国防方針等
【第11回】
 第一次世界大戦における日本の参戦
【第12回】
 海軍建艦競争とワシントン海軍軍縮条約、陸軍の軍縮とその影響
【第13回】
 ワシントン体制の打破の動きと日本の国家経営(東方会議、軍部の台頭)
【第14回】
 ロンドン条約と統帥権干犯問題
【第15回】
 国内テロ・満州の危機と日本陸海軍