Web Syllabus(講義概要)

平成23年度

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東洋社会史 I 佐藤 斉華
選択  2単位
【社会】 11-1-1350-0251-04

1. 授業の内容(Course Description)
 「東洋」に含まれる地理的範囲は広大であり、そこに住まう人々の今のありようも様々なら、彼・彼女らがつみかさねてきた歴史もそれぞれに異なっている。西洋という「他者」との対比においてでなければ、東洋を一つにくくることは、ほとんど意味を持たないのである。また、東洋各地の社会的現実は、西洋との歴史的接触(それはしばしば植民地支配・被支配関係によって枠づけられてきた)を通じて変容し、あるいは変容させられてきたものである。「西洋とは異質な東洋」なるものは、西洋との接触以前から、既にそこにずっとあったわけではなく、西洋とは異質な(異質であるべき)何ものかとして、他ならぬこの西洋との出会いを通して、形づくられてきたものなのである。
 このことをふまえ、東洋の社会・文化の今を形づくってきた歴史を具体的に考えるため、本講義では西洋との接触のもとにおかれた南アジア世界、とりわけ近代インドを取り上げる。今なお「カースト社会」というイメージが内外に根強く定着しているインド社会のありようは、西欧近代との交渉を通していかに形づくられてきたのだろうか。そもそもなぜ、「インド=カースト社会」というイメージが固定化されることになったのか。ひときわダイナミックに変貌しつつある現代インドの諸側面との連続性にも目配りしながら、インド近代について多面的な理解の形成をめざす。
2.
授業の到達目標(Course Objectives)
 歴史的深度において「社会」を捉える態度を獲得する。インド世界についての基本的理解を形成する。
3.
成績評価方法(Grading Policy)
 「平常点」及び学期末に行う試験によって評価する。平常点は、各回講義についてのコメントによるものとする。
4.
テキスト・参考文献(Textbooks)
 テキスト:藤井 毅『歴史のなかのカースト:近代インドの<自画像>』岩波書店、2003年。
 参考文献:適宜指示する。
5.
授業時間外の学習《準備学習》(Assignments)
 授業でとりあげた教科書の箇所を、授業後に読みこんでおく。授業や教科書の内容についての疑問・コメントを、毎回かきとめ、フィードバックする。
6.
学生への要望・その他(Class Requirements)
 基本的には講義形式の授業であるが、折にふれて提起する問いかけに積極的に応答する姿勢で授業に臨んでほしい。テキストを購入し、授業に持参すること。私語厳禁。
7.
授業の計画(Course Syllabus)
【第1回】
 イントロダクション(1):「東洋」という問題設定
【第2回】
 イントロダクション(2):私たちと「インド」
【第3回】
 イントロダクション(3):カーストを語る意義について
【第4回】
 現代インドへのイントロダクション(1)
【第5回】
 現代インドへのイントロダクション(2)
【第6回】
 インドはいつ「インド」になったか
【第7回】
 カーストの「発見」
【第8回】
 植民地支配とカースト(1)
【第9回】
 植民地支配とカースト(2)
【第10回】
 カーストをめぐる語りの増殖(1)
【第11回】
 カーストをめぐる語りの増殖(2)
【第12回】
 カーストの実体化(1)
【第13回】
 カーストの実体化(2)
【第14回】
 植民地支配と「インド女性」
【第15回】
 暫定的総括と展望