Web Syllabus(講義概要)

平成23年度

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教育社会学 I 山口 毅
選択  2単位
【社会】 11-1-1350-0550-01

1. 授業の内容(Course Description)
 みなさんが在籍しているのは、高等教育機関の4年制大学である。学校に通うことの理由や目的、意義はさまざまにあるだろう。だが、卒業すれば大卒という肩書きを手に入れること、そしてその肩書きが就職を決める際にも無関係ではないこと、そうしたことは誰もが承知しているのではないかと思う。
 学校教育は、人びとを選り分け、格差のある社会的地位へと送り込む働き―それを教育の選抜・配分機能という―をもっている。教育社会学は教育のもつそうした働きを、主要テーマのひとつとして分析してきた。言い換えれば、学歴社会の仕組みを明らかにすることを得意分野としてきた。そこでこの授業では、教育のもつ選抜・配分機能を切り口として、教育と社会の関わりを検討していきたい。内容はどちらかといえば卑近で下世話なものである。しかし教育の選抜・配分機能は、私たちの生きている近代社会の掲げる、自由や平等という理念と関連している。とはいえ、声高に理想を叫ぶ前に、現実はどのようになっているのかを見てみよう。そして、今までに明らかになったことから得られる示唆はなにか、考えていきたいと思う。
2.
授業の到達目標(Course Objectives)
 教育の選抜・配分機能について学び、教育と社会の関わりを理解すること。
3.
成績評価方法(Grading Policy)
 学期末試験(80%)と出席(20%)を総合的に評価する。
4.
テキスト・参考文献(Textbooks)
 テキストは用いない。総論的な参考文献は、天野 郁夫ほか『教育社会学(改訂版)』(放送大学教育振興会)。
5.
授業時間外の学習《準備学習》(Assignments)
 授業内容を把握するとともに、関連する文献を読み、わからない用語を調べておくこと。
6.
学生への要望・その他(Class Requirements)
 この授業は、教育社会学への入門的な案内である。教育社会学 IIでは、教育問題を中心に取り上げる。
7.
授業の計画(Course Syllabus)
【第1回】
 イントロダクション:教育社会学の対象と方法
【第2回】
 近代社会と教育(1):近代社会の成立に学校教育が果たした役割
【第3回】
 近代社会と教育(2):近代学校はどんな点でそれ以前の学校とは違うのか
【第4回】
 近代社会と教育(3):自由・平等の理念と教育における選抜との関係
【第5回】
 教育と選抜(1):日本社会の近代化と教育の機会
【第6回】
 教育と選抜(2):日本社会の近代化と教育の機会(続き)
【第7回】
 教育と選抜(3):機会の平等の阻害要因①―経済的要因
【第8回】
 教育と選抜(4):機会の平等の阻害要因②―文化的要因
【第9回】
 教育と選抜(5):文化的再生産論①―バーンステインの理論
【第10回】
 教育と選抜(6):文化的再生産論②―ブルデューの理論
【第11回】
 ジェンダーと教育(1):ジェンダー(社会的性差)と選抜・配分の関係
【第12回】
 ジェンダーと教育(2):性役割の社会化と「隠れたカリキュラム」
【第13回】
 教室の社会学(1):教師と生徒のやり取りに見る選抜過程
【第14回】
 教室の社会学(2):生徒文化と学力
【第15回】
 まとめ:近代社会の構造変容と教育