Web Syllabus(講義概要)

平成23年度

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出版文化論 I 丹野 清和
選択  2単位
【社会】 11-1-1350-1584-07

1. 授業の内容(Course Description)
 出版社の数は4000弱。その半数は、従業員10人以下の小規模出版社です。講談社や小学館、集英社、文藝春秋社、新潮社などのように、月刊誌、週刊誌、女性誌から一般書籍、文芸書、新書・文庫などを出版する総合出版社から、ある特定分野の書籍や雑誌のみ刊行する小出版社まで、その形態はさまざまで、刊行される雑誌、書籍は日々、生成消滅を繰り返しています。編集プロダクションやアングラ出版まで含めれば、その世界は茫漠として、とてもその全貌を俯瞰することはできません。見方を変えれば、関わる人間の数だけ独自の世界が開けるきわめて人間臭い、融通無碍な世界ともいえます。構造不況が続いている出版界ですが、その意味で、なかなかしぶとい世界でもあります。本講座では、雑誌の流れを軸に、日本の出版界を担った人たち、現に担っている出版人の仕事を紹介しながら、個別具体的な出版界の実態にふれることで、今後の出版界の展望と可能性を考えたいと思います。
2.
授業の到達目標(Course Objectives)
 出版社の歴史、雑誌を含む出版物の歴史を学び、多様な出版界の実状を知ることで、それらが担ってきた文化的・社会的役割を認識し、書籍や雑誌にたいする関心をさらに高めること。
3.
成績評価方法(Grading Policy)
 期末の最終授業で試験を実施。ほかに授業中に随時行うテストを加味。
4.
テキスト・参考文献(Textbooks)
 とくに指定しません。そのつど、参考図書を紹介します。
5.
授業時間外の学習《準備学習》(Assignments)
 新聞の雑誌広告・新刊案内・書評欄に目を通すこと
6.
学生への要望・その他(Class Requirements)
 できるだけ多くの書籍、雑誌にふれること。
7.
授業の計画(Course Syllabus)
【第1回】
 イントロダクション――近代以前の出版
【第2回】
 国語元年――現代日本語の成立と展開
【第3回】
 出版社の誕生1――博文館・多様な雑誌の成立
【第4回】
 出版社の誕生2――実業之日本社・出版流通システムの確立
【第5回】
 出版社の誕生3――新潮社・文芸出版の成立
【第6回】
 出版社の誕生3――講談社と国民雑誌「キング」
【第7回】
 出版社の誕生4――岩波書店と教養主義
【第8回】
 文庫・新書の刊行と「円本時代」
【第9回】
 総合雑誌「中央公論」と「改造」
【第10回】
 戦時出版規制と横浜事件
【第11回】
 戦後カストリ雑誌と出版社系週刊誌の誕生
【第12回】
 漫画の週刊誌化と巨大産業化
【第13回】
 若者文化の創造――「平凡パンチ」の時代
【第14回】
 雑誌のヴィジュアル化とセグメント化の進展
【第15回】
 まとめと試験