Web Syllabus(講義概要)

平成23年度

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精神薬理学特論 池田 政俊
選択  2単位
【臨床心理学専攻】 11-1-1360-0032-08

1. 授業の内容(Course Description)
 心の臨床に携わろうとする者は、「心の病」に対して、心理療法などとの関連で、薬物を優先するべきか、併用するべきかを知っておく必要がある。また、薬物選択、作用機序、期待される効果、起こりうる副作用、患者・家族に与える精神力動的意味などについて、基本的な知識を持っている必要がある。更には、様々な主に非合法的に用いられることがある脳に影響を及ぼす物質についても知っておく必要がある。
 本講義では、精神薬理学、精神科薬物療法だけではなく、精神科治療学全般について学ぶ。また、関連法規や様々な職種間の連携、社会資源の活用などにも触れる予定である。
2.
授業の到達目標(Course Objectives)
 本講義では、心理臨床に関わろうとする者に必要と考えられる薬物や物質についての臨床実践に役立つ知識、および関連法規や様々な職種間の連携、社会資源の活用などを含めた精神科治療学全般についての知識の修得をめざす。
3.
成績評価方法(Grading Policy)
 報告・討論への参加を通して、各自の理解力・考察力および表現力などを総合的に判断する。出席点も考慮する。
4.
テキスト・参考文献(Textbooks)
 テキスト:『知っておきたい精神医学の基礎知識―サイコロジストとコ・メディカルのために』(単行本)
上島 国利(編集),平島 奈津子(編集),上別府 圭子(編集)誠信書房
 その他、教員がPPやビデオなどを都度提示する。
 参考文献:HPなどでその都度提示する。
5.
授業時間外の学習《準備学習》(Assignments)
 テキストおよび池田のHP(http://appsv.main.teikyo-u.ac.jp/~m-ikeda/index.htm)にUPしてある「精神病理学概論」と「精神医学概論」「精神薬理学の基礎知識」などの該当部分を事前に見ておくことが望まれる。
6.
学生への要望・その他(Class Requirements)
 この講義は春期の「精神医学特論」および通年の「臨床心理面接特論」と連動している。履修者は春期に「精神医学特論」を履修していることが強く望まれる。
 関連講義:心身医学特論、精神医学特論、臨床心理面接特論など
 (学部:精神病理学概論、精神医学概論、精神薬理学概論、精神分析学、精神保健の理論と実際など)
 適宜池田のHP(http://appsv.main.teikyo-u.ac.jp/~m-ikeda/index.htm)を参照すること。
 真剣に学ぼうとしている他の院生の邪魔をしないこと(私語、携帯電話、担当時の欠席など)。
 主体的・創造的な参加が望まれる。
7.
授業の計画(Course Syllabus)
 基本的にはテキストを使用する。初めにテーマ別に発表者と討論者を決める。発表者は事前に十分に内容を理解するよう努力して、それを要約したレジュメや参考文献、資料を準備してA4、2~4枚程度にまとめ、当日は他の履修者が内容を理解できるように発表する。討論者には質問と討論の中心になることが求められる。発表者には、こうした質問や討論に対応できるだけの準備が求められることになる。その後、教員が補足的な講義を行う。
 概ね以下の順番で行う予定である。
【第1回】
 発表者、討論者の分担決定など。
【第2回】~【第14回】
 1.精神科治療の基礎知識
  (1)心理療法(概論)
  (2)薬物療法
   <1>薬物療法と心理療法
   <2>向精神薬の薬理作用、なぜ効くのか。
   <3>定型抗精神病薬
   <4>非定型抗精神病薬
   <6>抗コリン薬、抗ヒスタミン薬、アマンタジン
   <7>SSRI
   <8>従来の抗うつ薬
   <9>気分安定薬
   <10>抗不安薬
   <11>睡眠薬
   <12>その他の抗てんかん薬
   <13>抗認知症薬
   <14>その他の薬剤
   <15>向精神薬の副作用
   <16>大量服薬と中毒
  (3)その他の生物学的治療(電気けいれん療法、高照度光療法など)
  (4)精神科心理社会的療法(作業療法、デイケア、レクリエーションなど)
 2.精神科関連の法と制度の基礎知識
  (1)精神保健福祉法
  (2)麻薬及び向精神薬取締法
  (3)覚せい剤取締法
  (4)心神喪失者医療観察法
  (5)精神障害者のための資格取得制限(欠格条項)
  (6)成年後見制度
  (7)その他(児童虐待防止法、DV防止法、守秘義務など)
  (8)司法精神医学(責任能力など)
 3.臨床心理学と精神医学の接点
  (1)精神医学の関連領域(コンサルテーション・リエゾン、産業精神医学、社会精神医学など)
  (2)サイコロジストと精神科医との連携
  (3)精神科チーム医療(PSW、Nsなどとの連携)
  (4)社会資源の活用(社会復帰施設、自助グループなど)
【第15回】
 まとめと小テスト