Web Syllabus(講義概要)

平成23年度

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障害理解心理学特論 木原 久美子
選択  4単位
【臨床心理学専攻】 11-1-1360-0180-05

1. 授業の内容(Course Description)
 「障害」・「能力」をめぐる新たなICFモデル(WHO、2001)によると、障害を持つ、持たないに関わらず、心身機能に応じたケアを受け、活動と参加の権利が保障されることによって、健康が保たれると言う。そうした新たな健康観に立ち、対象者へのケアを実践する専門職の1つが心理職である。
 本授業では、自閉症に対する支援に焦点をあてて考える。授業では、自閉症にみられる認知障害の背景に、他者との情緒的結びつきの問題が存在すると考える。そうした視点に立つことで明らかになる自閉症児・者の抱える困難と支援の方向性について、研究動向をふまえて理解を深めていく。
 授業は、主に演習方式で進める。演習では、輪番制でテキストおよび学術論文の担当箇所を報告し、履修者全員でディスカッションすることにより、各自の問題意識を明確化していきたい。
2.
授業の到達目標(Course Objectives)
 自閉症児・者の抱える困難の基底に他者との情動交流の問題があると考え、こうした観点に立つ知見を学び、臨床心理士としての支援の考え方について学ぶ。
3.
成績評価方法(Grading Policy)
 授業に対する積極的参加、レポート、出席状況などを総合して評価する。
4.
テキスト・参考文献(Textbooks)
 テキスト:トレバーセン,C.・エイケン,K.・パブーディ,D.・ロバーツ,J.(2005)
『自閉症の子どもたち』中野茂・伊藤良子・近藤清美監訳 ミネルヴァ書房
 (Trevarthen,C., Aitken,K., Papoudi,D., & Robarts,J. (1998) Children with Autism / Jessica Kingsley Publisher / London)
5.
授業時間外の学習《準備学習》(Assignments)
 できれば、原書を入手し、英文と対応づけながら学習を進めて欲しい。
6.
学生への要望・その他(Class Requirements)
 授業の進行状況によっては、変更もありうる。
7.
授業の計画(Course Syllabus)
【第1回】
 オリエンテーション
【第2回】
 DSMに描かれる自閉性障害と実態のずれ:自閉症児の表現としての描画
【第3回】・【第4回】
 自閉症の「発見」と多くの定義
【第5回】・【第6回】
 他の障害との類似と差異
【第7回】・【第8回】
 自閉症はどのくらいいるか
【第9回】・【第10回】
 何が自閉症の原因か、何が最初に起きる影響か
【第11回】・【第12回】
 脳の発達と自閉症
【第13回】・【第14回】
 自閉症における脳異常
【第15回】・【第16回】
 内面を伝えあう力の発達が筋道からはずれてしまう場合
【第17回】・【第18回】
 自閉症児と伝え合うこと、遊ぶこと
【第19回】・【第20回】
 自閉症児のためにできることは何か
【第21回】・【第22回】
 自閉症児のための音楽療法
【第23回】・【第24回】
 自閉症を含む広汎性発達障害への精神分析と対応
【第25回】・【第26回】
 自閉症児の教育:最大限の可能性を引き出す考え方と方法
【第27回】・【第28回】
 終章:断片から図へ
【第29回】
 全体討論
【第30回】
 全体討論のまとめとテスト