Web Syllabus(講義概要)

平成23年度

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応用行動分析学 望月 要
選択  2単位
【心理】 11-1-1360-0533-01

1. 授業の内容(Course Description)
 応用行動分析学 (Applied Behavior Analysis: ABA) は,実験行動分析学の応用分野であり,実験行動分析学の哲学である徹底的行動主義 (radical behaviorism) と,実験行動分析学が明らかにした行動の原理を人間生活に応用し,様々な問題を解決しようとするものである。その応用範囲は,臨床心理学をはじめ,発達障害,精神疾患,教育,特別支援教育,リハビリテーション,コミュニティ心理学,ビジネス,産業,ヒューマンサービス,育児,セルフマネージメント,スポーツ,アニマルトレーニング,健康問題,高齢者支援におよび,どの領域でも確実な成果を挙げている。
2.
授業の到達目標(Course Objectives)
 この講義は,実験行動分析学を初めて学ぶ者を対象に,実験行動分析学の基本的概念の解説から始め,実践例を通して,応用行動分析の基本的な用語と概念,技法,哲学的背景を理解することを目指す。
3.
成績評価方法(Grading Policy)
 学期末試験の成績のみで成績を決める。試験は,あらゆる資料の持ち込みを認め,論述式問題で実施する。
4.
テキスト・参考文献(Textbooks)
 テキストは使用しない。以下の書籍は,応用行動分析学に対する理解を深める上で役立つであろう。
 ミルテンバ−ガ−R.G.園山繁樹・野呂文行・渡部匡隆・大石幸二(訳)(2006).『行動変容法入門』二瓶社
 大河内浩人・武藤 崇(編)(2007).『行動分析』ミネルヴァ書房
 山本淳一・加藤哲文(編著)(1997).『応用行動分析学入門:障害児者のコミュニケーション行動の実現を目指す』学苑社
 島宗 理 (2004).『インストラクショナルデザイン』 米田出版
 シュリンガーH.D.Jr.園山繁樹・根ヶ山俊介・山根正夫・大野裕史(訳)(1998).『行動分析学から見た子どもの発達』二瓶社
 山本淳一・池田聡子(編)(2005).『応用行動分析で特別支援教育が変わる:子どもへの指導方略を見つける方程式』
 ナイ R.D. 河合伊六 (訳) (1995).『臨床心理学の源流: フロイト・スキナ−・ロ−ジャズ』二瓶社
5.
授業時間外の学習《準備学習》(Assignments)
 特に予習は求めないが,毎回の講義で取り上げた内容について,次回までに十分に理解し専門用語は記憶してくることを求める。
6.
学生への要望・その他(Class Requirements)
 応用行動分析学を理解するには,実験行動分析学と理論行動分析学の知識が必要不可欠である。『学習心理学基礎論』を併せて履修することが望ましい。また理解を深めたい学生は秋学期の『基礎行動分析学』を併せて受講すると好い。
7.
授業の計画(Course Syllabus)
【第1回】
 ガイダンス: 授業方針の説明,参考書籍の紹介
【第2回】
 実験行動分析学の基本 (1): 医学モデルの否定,行動の基本単位と随伴性
【第3回】
 実験行動分析学の基本 (2): 基本的な強化随伴性
【第4回】
 研究デザイン (1): 反転法, 多層ベースライン法,データの可視化
【第5回】
 研究デザイン (2): データの可視化と評価
【第6回】
 行動観察記録法
【第7回】
 行動を増やす技法 (1): 正の強化・負の強化
【第8回】
 行動を増やす技法 (2): 確立操作と行動の維持
【第9回】
 行動を増やす技法 (3): 条件性強化子とトークン
【第10回】
 行動を増やす技法 (4): 反応形成と行動連鎖
【第11回】
 行動を減らす技法 (1): 消去と罰,随伴性分析
【第12回】
 行動を減らす技法 (2): 他行動分化強化
【第13回】
 行動を減らす技法 (3): タイムアウト,レスポンス・コスト
【第14回】
 弁別刺激による行動の制御: 般化,プロンプト,教示
【第15回】
 情動の制御: レスポンデント条件づけによる恐怖・不安の軽減