Web Syllabus(講義概要)

平成23年度

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臨床心理地域援助特論 II 元永 拓郎
選択  2単位
【臨床心理学専攻】 11-1-1360-0535-12

1. 授業の内容(Course Description)
 「地域(コミュニティ)」とは「人の集う場」「生活する場」を意味する。精神科医療機関における治療が、人々を生活の場から引き離す介入に歴史的になりがち(特に入院医療)であった。それらに対し、地域援助(コミュニティ・アプローチ)は人々が生活する地域・学校・職場に直接的に介入し共に活動することを指す。
 精神障害者の社会復帰を中心とする地域精神保健活動(コミュニティ・メンタルヘルスサービス)を始めとして、さまざまな地域援助が心理臨床活動の中で必要となってきている。病院自体もコミュニティと考え、コミュニティ・アプローチを行うことが求められている時代となっている。
 このように今後の心理臨床活動において中心的な概念となる地域援助(コミュニティ・アプローチ)について、その鍵概念の検討を行い、具体的な実践介入、さまざまなコミュニティにおける介入の比較、活動評価について、包括的に学ぶのがこの特論の役割である。
 コミュニティすなわち集団に対する援助に対して、サービス評価の考え方や手法に関しても特論の中で取り扱っていく予定である。時間的に余裕があるならば、集団把握のための統計的な考え方についてもふれていくことになる。
2.
授業の到達目標(Course Objectives)
 さまざまなコミュニティ現場において心理臨床活動を行う上で、基礎的理念と知識の習得を目標とする。
3.
成績評価方法(Grading Policy)
 出席 60%、授業内発表 15%、レポート 25%
4.
テキスト・参考文献(Textbooks)
 『心の専門家が出会う法律−臨床実践のために 第2版』 佐藤 進 監修、津川 律子・元永拓郎 編 誠信書房
 『生活の場での実践メンタルヘルス』 佐々木 雄司 著 保健同人社
5.
授業時間外の学習《準備学習》(Assignments)
 上記テキストを熟読して臨むこと。
6.
学生への要望・その他(Class Requirements)
 水曜日必修授業の午後の時間帯であり、修士1年と2年とが合同で行なう授業である。臨床に関する重要な案内等も行なうことがあるので、臨床を目指す院生は出席することが求められる。昨年開講の「臨床心理地域援助特論Ⅰ」とは別授業となるので、昨年該当の授業をとった院生も、出席してほしい。
 心理療法の理論や相談室の中での面接過程も非常に重要であるが、実際の心理臨床の現場ではコミュニティ・アプローチの考え方で対応しなければ適用しない。たとえば、面接室を出て学校全体で行われていることを把握しなければ、スクールカウンセラーとしての役割を果たすことにはならない。病院であっても、病棟というコミュニティを充分に把握した上で心理面接を行わなければ、りっぱな心理臨床理論を学んでいてもまったく浮いた存在となってしまう。コミュニティでの心理臨床家の身のこなし方をぜひとも学び深めてほしい。
7.
授業の計画(Course Syllabus)
【第1回】
 ・ガイダンス
 ・地域(コミュニティ)とは何か?
【第2回】~【第4回】
 ・コミュニティ・アプローチに関する基本的理論や考え方
 ・サイコセラピーとコミュニティアプローチの違い
【第5回】~【第10回】
 ・各コミュニティにおけるアプローチの具体的展開
 (グループワークと発表)
【第11回】~【第14回】
 ・特殊なコミュニティに対するアプローチ
【第15回】
 ・新しいコミュニティ・アプローチの展開
 ・課題レポート