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授業の内容(Course Description) |
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心の病や精神医学的問題は、生物・心理・社会それぞれの影響を強く受ける。特に社会とのかかわりの中で精神的問題が発生し、社会との関係の中でその問題が癒されていく。たとえば統合失調症の発症において、青年のおかれている社会的環境が大きく影響する。またこの病が癒され社会復帰する時にも、社会におけるさまざまな制度(社会資源という)が重要な役割を持つ。つまり心の病は、検査や薬といった医療中心の対応のみでは不充分なのである。
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2. |
授業の到達目標(Course Objectives) |
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本講義では、精神医学と社会とが関連しあう分野を幅広く紹介し、その実情や課題について幅広く議論する。この講義を通して、現代における心と社会とのダイナミックな関係を感じ、心理学と社会との関係を心の病という側面から眺め、今後の生き方のひとつの参考にしてもらえれば幸いである。
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3. |
成績評価方法(Grading Policy) |
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定期試験が主な評価対象となる(※持ち込み不可)。そのため、授業に7割以上出席し定期試験に臨むことが求められる。
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4. |
テキスト・参考文献(Textbooks) |
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テキストは指定しない。 参考文献 『心の専門家が出会う法律−臨床実践のために』 佐藤進 監修、津川律子・元永拓郎 編 誠信書房 『受験生、こころのテキスト』 元永拓郎・早川東作 編著 角川書店 『新しいメンタルヘルスサービス』 元永拓郎 著 新興医学出版社
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5. |
授業時間外の学習《準備学習》(Assignments) |
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基本的な精神疾患について学んでおくことが望ましい。現代社会の諸問題について、心の問題に関連づけて日常的に関心を高める姿勢を期待したい。
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6. |
学生への要望・その他(Class Requirements) |
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心理臨床や心理学の社会での応用に関心のある学生にはぜひ選択してほしい。なお、授業において具体的事例に触れることもあるので(プライバシー保護の観点からフィクション化してある)、悩むことの意義や生き抜くことの重みについても学び取ってほしい。1年生の履修は歓迎したい。 授業中の他人に迷惑をかける行為には、厳しく対処する。
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7. |
授業の計画(Course Syllabus) |
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【第1回】 授業ガイダンス(※必ず出席すること) 【第2回】 日本人のメンタリティ(精神構造) 【第3回】 現代社会と心の病(精神疾患、ひきこもり、自殺の問題など) 【第4回】 ライフサイクルと社会精神医学Ⅰ(胎児期、乳幼児期、学童期) 【第5回】 ライフサイクルと社会精神医学Ⅱ(思春期・青年期、成人期、老人期) 【第6回】 法とメンタルヘルス 【第7回】 精神障害者の権利擁護(※ゲストスピーカー招聘予定) 【第8回】 インフォームド・コンセント/死生学 【第9回】 依存の心理とメンタルヘルス(依存性格、薬物依存の問題など) 【第10回】 外傷体験(traumatic experience)と心的外傷(戦争、災害、虐待など) 【第11回】 虐待を生み出す社会病理Ⅰ(児童虐待) 【第12回】 虐待を生み出す社会病理Ⅱ(高齢者虐待) 【第13回】 大学受験とメンタルヘルス 【第14回】 コミュニティにおける心の支援(精神科との連携など) 【第15回】 まとめ・定期試験の留意点
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