Web Syllabus(講義概要)

平成23年度

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心理学基礎文献研究 I 福島 啓造
必修  2単位
【心理】 11-1-1360-1867-07

1. 授業の内容(Course Description)
 今日、心理学は原理・基礎的分野から応用・臨床分野まで様々な発展を遂げているが、犯罪(非行)心理学は犯罪現象の分析と犯罪(非行)者処遇に研究目的を置く臨床心理学の一分野と考えられている。一方で犯罪(非行)という人間行動を理解するためには、単に心理学的知見によるのみならず、犯罪学・社会学・医学・法学など、他の学問との学際的研究が必要とされている。心理学と幅広い他の学問分野との関連性を認識しつつ、犯罪(非行)心理学の基礎を学ぶための文献を講読する。具体的には少年非行に関しての学際的アプローチを紹介した文献を取り上げ、受講者をいくつかのグループに分け、それぞれに分担してその文献を講読し、内容を授業中他の受講生に発表紹介する。
2.
授業の到達目標(Course Objectives)
 犯罪(非行)行動は、心理学の主たる研究対象としての人間行動の一種である。しかし、一方でこの行動は、法律や社会規範、家族や自己の周辺の人間関係、あるいは社会・経済状況に大きく影響される行動でもある。授業で取り上げる文献を最後まで読み解くことにより、個人的要因にとどまらない多様な側面からの犯罪(非行)行動に関する研究動向を理解し、改善更生の方策にも関心を抱くようになる。
3.
成績評価方法(Grading Policy)
 期末レポート40%、発表内容とディスカッション参加度30%、出席加点30%とする。
4.
テキスト・参考文献(Textbooks)
 テキスト:『少年非行の行動科学』小林寿一 編著 北大路書房
5.
授業時間外の学習《準備学習》(Assignments)
 各班のメンバーで事前に発表内容をよく検討し、役割分担や資料作成準備等を行い。受講者が内容を理解できるよう工夫し、文献の分担部分の朗読のような発表にならないよう注意すること。受講者全員が、文献の当日発表部分を読了していること。
6.
学生への要望・その他(Class Requirements)
 テキストは少年非行研究の近年の動向を多方面から論述・検討した文献であり、講読結果を班別に分担発表する形式で授業を進めていくが、分担部分に限らず各自が文献全体を精読し、関連資料を参考にするなどの文献研究態度が必要であり、これに基づいた活発な質問・討論を期待する。
7.
授業の計画(Course Syllabus)
【第1回】
 「授業のガイダンス」:講読テーマ、グループ分け、発表要領等の説明
【第2回】
 「少年非行の定義と動向」:少年非行とは?少年事件手続き、少年非行の動向
【第3回】
 「少年非行の原因」:少年非行関連要因、危険因子
【第4回】
 「少年非行の説明理論」:種々の非行説明理論と新しい動向
【第5回】
 「凶悪・粗暴な非行の前兆と背景」:少年の殺人、粗暴非行
【第6回】
 「少年非行の諸相」:非行集団、女子非行
【第7回】
 「被害と加害」:暴力の連鎖、被害から加害への転化の理論
【第8回】
 「非行防止活動:地域社会の活動、警察における少年相談
【第9回】
 「少年非行の法的手続き」:家庭裁判所及び少年鑑別所の役割
【第10回】
 「非行少年の処遇」:少年院における矯正教育
【第11回】
 「非行少年の処遇」:少年刑務所における対応
【第12回】
 「非行少年の処遇」:保護観察所における対応
【第13回】
 「少年非行対策の方向」:エビデンスの活用
【第14回】
 「犯罪被害者と再犯防止」:近年の動向を概観する
【第15回】
 「授業のまとめ」:まとめと秋期授業へのガイダンス