Web Syllabus(講義概要)

平成23年度

ひとつ前のページへ戻る 教授名で検索

 
心理学基礎文献研究 II 福島 啓造
必修  2単位
【心理】 11-1-1360-1867-08

1. 授業の内容(Course Description)
 春期にとり上げた少年非行問題の根源ともなりうるテーマで、幼児、児童の発達上の問題をテーマとする文献を採りあげる。その内容は児童心理学、発達心理学、教育心理学、臨床心理学など幅広い関連領域を有するもので、近年研究の活発化が見られる発達臨床心理学の基礎ともなりうる研究課題を示唆している。
2.
授業の到達目標(Course Objectives)
 現代の子どもをとりまく社会環境の変化(インターネット、携帯電話、情報過多体験不足の生活等)が子どもたちの行動や考え方に奇妙な変化をもたらしている現状を概観し、そうした状況をどのように改善すべきかを採りあげて論述したテキストを講読・検討することにより、子どもの今日的な逸脱行動や非行の背景にある問題への認識を深める。
3.
成績評価方法(Grading Policy)
 期末レポート40%、発表内容とディスカッション参加度30%、出席加点30%とする。
4.
テキスト・参考文献(Textbooks)
 テキスト:『壊された子どもをどう救うか』(不思議の国アリス現象からの解放)杉原一昭 著 田研出版
5.
授業時間外の学習《準備学習》(Assignments)
 各班メンバーで事前に発表内容をよく検討し、役割分担や資料作成準備等を行い、受講者が内容を理解できるよう工夫し、分担部分の朗読のような発表にならないよう注意すること。受講者全員が文献の当日発表部分を読了していること。
6.
学生への要望・その他(Class Requirements)
 授業は、春期と同様班別に研究結果を発表する形で進める。講読・検討を進める中でテキストが提示する児童の発達をめぐる諸問題について、他の関連文献を参考にするなどして認識を深め、分担部分に限らず全員が活発に議論できるよう準備することを求める。
7.
授業の計画(Course Syllabus)
【第1回】
 授業のガイダンス:講読テーマ、グループ分け、テーマの割振り等につき説明する。
【第2回】
 「破壊された子どもたち」:奇妙な子ども、発達逆転現象
【第3回】
 「不思議の国のアリス現象」:実体験のない世界、ともだちとかかわらない
【第4回】
 「アリス現象の原因」:テレビ視聴の影響、本からの情報収集
【第5回】
 「幻の世界に生きる」:崩れた「もの」と「ことば」の対応、外界認知の3段階
【第6回】
 「アリス現象の増幅」:「生活科」と「総合学習」、携帯メール問題、
【第7回】
 「子どもは『死』をどうとらえるか」:死の意味、こどもの自殺、殺人
【第8回】
 「アリス現象からの解放」:動物飼育体験、実物教育
【第9回】
 「自然体験で子どもは変わる」:サマースクールの奇跡
【第10回】
 「なぜ子どもは変わる?」:自然体験のねらい、試行錯誤と自己決定
【第11回】
 「自然体験活動の意義」:発達逆転現象と自然体験、ヴァーチャル世界と自然体験、自然体験の癒し
【第12回】
 「母性愛否定の誤り」:子育て研究とフェニミズムの偏見
【第13回】
 「非社会性と社会不適応」:対人不適応、学校不適応、職場不適応
【第14回】
 「非社会性と犯罪」:犯罪・非行行動の反社会性から非社会性への変化
【第15回】
 「まとめ」:発達臨床心理学の研究課題