Web Syllabus(講義概要)

平成23年度

ひとつ前のページへ戻る 教授名で検索

 
心理学演習 A ・ B 南  隆男
必修  各2単位
【心理】 11-1-1360-1871-04

1. 授業の内容(Course Description)
 最近、メディア(新聞・雑誌)でも話題として取り挙げられることの多くなった「メンター/メンタリング/メンターシップ」(Mentor/Mentoring/Mentorship)なる“関係性”に焦点を当て、それはどういう関係性なのか? それを問題とすることによって、われわれ人間のどのようなことが新たに理解可能となってくるのか? ほかの“親密な関係性”(Close Relationships)、たとえば、親子関係や恋愛関係と、どこがどのようにちがうのか?といった問題群を、関連の先行研究を参照しながら、考察してみたい。
 ところで「メンター」って、一言で言えば、いわゆる“恩師/恩人”のことです。「このひと(との出会い)なしには、今の自分は在り得ない/考えられない」「そのひとが関わってくれて/受けとめてくれて/導いてくれたからこそ、自分は今、こうなっている/これをしている」っていうふうに思える、親や兄弟以外の、年長他者のことです。人生の途上でそういうひとに巡り合えたら、どんなにうれしく、しあわせなことだろう! でもひるがえって、そのひとは、子どもでもなく親戚すじの人間でもない、まったく“赤(あか)の他人”の私に、どうしてそのような関わりをし(てくれ)たのだろうか? メンター/メンターシップへの興味関心はここに在ります。そして、社会心理学/産業・組織心理学/生涯発達心理学/社会学/文化人類学が熱く交叉しあう、ホットな研究イシューのひとつです。
 このあたりの情況をも“楽しみ”つつ、このホット・ディスカッションの輪の中へと参加してみよう!と念います。
2.
授業の到達目標(Course Objectives)
 自身をも含めた「人間」への関心を深め、人間世界への「心理学的創造力」を高めていくことはもとより、1年次の『ライフデザイン演習』や2年次の『心理学基礎文献研究』で“ありがち”な「いまいち“燃えられない”/“熱くなれない”」事態を脱却/変革して、授業そのものを楽しむことです。
3.
成績評価方法(Grading Policy)
 互いの意見(感じたこと/思ったこと/考えたこと)を開示しあい、クラス全体で討議・討論することが“命”ですから、欠席が5回以上あった場合は評価が入らないものとし、3回の遅刻・早退は欠席1回に相当する、との“約束”で授業を進めます。
4.
テキスト・参考文献(Textbooks)
 まず、教師が、「メンター/メンターシップ概説」的に、“問題の核”を講義します。次いで、(「テキスト」や「文献」を通してよりも、観ればワカル)「映画」を“体系的”に供覧してゆくことをします。それらの「映画」(に描かれている世界)が“テキスト”となって、各人の思ったこと/考えたことを発表、討議・討論していきます。
 討議・討論の展開に即応させて、関連の「参考文献」を紹介してゆきます。
5.
授業時間外の学習《準備学習》(Assignments)
 「テキスト」である『映画』のそれぞれを必ず観終えて教室へと参画して下さること、このことが必須にして最低限の《準備学習》課題となってきます。
6.
学生への要望・その他(Class Requirements)
 以上のように授業は展開されてゆく(予定です)ので、このことを十分に承知/了解/了承のうえで、本授業の履修を決めて下さい。
 あ…、われわれは、時に、「恩人すら殺す」こともあるワケで、 『南の「心理学特殊実験演習」』を選択された諸君には、本授業の選択をもすすめます。 「他者を支援し愛すること」と「他者を排斥し憎むこと」とはコインの表と裏のような関係にあるからです。
7.
授業の計画(Course Syllabus)
 以下のように計画してますが、履修された学生諸君の実情と興味・関心に即応させて、変わる/変えることもあります。ちなみに、以下は、あくまでも“目安”です。
 心理学演習A(春学期)
【第1回】
 ガイダンス/春学期授業のオリエンテーション
【第2回】
 担当教員・参加者各人の「自己」紹介
【第3回】
 「メンター=プロテジェ関係」概説
【第4回】~【第14回】
 以下の「映画」を“事例”に考究・討論
  ①『ベスト キッド』
  ②『顔のない天使』
  ③『グッド ウィル ハンティング』
  ④『いまを生きる』
  ⑤『白い嵐』
  ⑥『蝶の舌』
  ⑦『スリン ブレイド』
  ⑧『無法松の一生』
【第15回】
 秋学期に向かって!(「試験」実施)
 心理学演習B(秋学期)
【第1回】
 秋学期授業のオリエンテーション
【第2回】
 担当教員・参加者各人の「近況」報告
【第3回】
 「キャリア発達とメンタリング」概説
【第4回】~【第14回】
 以下の「映画」を“事例”に考究・討論
  ①『スタンド バイ ミー』
  ②『まぶだち』
  ③『遠い空の向こうに』
  ④『ミリオン ダラー ベィビー』
  ⑤『序の舞』
  ⑥『スタンド アップ』
  ⑦『ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない』
【第15回】
 それぞれの旅立ちを!(「レポート」提出)