Web Syllabus(講義概要)

平成23年度

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超域文化概論 臼井 隆一郎
必修  2単位
【超域文化専攻】 11-1-1410-2414-09

1. 授業の内容(Course Description)
 外国語学部に設置された大学院がどういう理由で「超域文化」と言わざるをえないのかを論じたい。設置されて日が浅いので聴講する院生の数は極めて少数であることが予想される。授業は必然的に、ほとんどマンツーマン形式の討論主体の授業になると考えられる。とは言え、聴講する院生の関心に合わせただけの授業にはできないので、当専攻の考える超域文化の諸現象を概観することになる。
 授業予定は下に記した通りであるが、讃歌学生の関心に合わせて進路を多少変えることがある。
2.
授業の到達目標(Course Objectives)
 到達目標:文化が超域化するとはどういうことか、文化と土地の固有な繋がりを前提にする文化が脱土地化を起こし、超域化していく現代のグローバライゼーションが世界語、リンガ・フランカ、として英語を必要としていく歴史の展開と現状を基本的に理解すること。 
3.
成績評価方法(Grading Policy)
 参加学生数は極端に少ないと考えられるので、ほとんど対話形式の授業となる。学生は一方的な聞き役ではなく、対話形式で問題の開発深化に努力する協力者であってほしい。成績評価は必然的に平常点と、教師と学生の合意の上で決められたテーマでのレポートとなる。
4.
テキスト・参考文献(Textbooks)
 学期を通じて使用するテキストはないが、基礎的に目を通しておくべき書籍を挙げておく。
 カール・シュミット『陸と海と』『大地のノモス』フリードリヒ・キットラー『グラモフォン・フィルム・タイプライター』、水野和夫『人々はなぜグローバル経済の本質を見誤るのか』、ジェレミー・リフキン『ヨーロピアン・ドリーム』など。
5.
授業時間外の学習《準備学習》(Assignments)
 ともかく大量の本を読むようにして貰いたい。本の時代は終わったなどと人びとが言うのそれなりの根拠があるのであるが、本を離れた思考や学問がどこかで成立したという話は聞かない。
6.
学生への要望・その他(Class Requirements)
 院生は自分の研究分野を持っていると思います。まずそれに、嫌になるほど集中することが大事です。と同時に、自分が行き詰まった時には、「救い」は外部や他者の、自分ではそれまで考えもしなかったことからしか来ません。そういう「他者」に身を開いておくことも大事です。そういう「他者」も通常、本の中にいるものです。
7.
授業の計画(Course Syllabus)
【第1回】
 ガイダンス。
【第2回】
 浦賀のIcan speak Dutch. 超域文化生成論の具体例.。明治維新期のヨーロッパと極東アジア 日本の開国と北太平洋世界 参考図書 三谷博『ペリー来航』、渡辺京二『逝きし世の面影』
【第3回】
 人類史的に見た19世紀の意味
【第4回】
 資本主義世界と『資本論』(マルクス)
【第5回】
 母権論的大地論(バッハオーフェン)
【第6回】
 大地と資本の「逆立ちした世界」。マルクス、バッハオーフェンのエコロジー的受容史
【第7回】
 明治維新前後のアジア情勢 台湾、日中関係、日韓関係、日清・日露戦争
【第8回】
 国民国家と海外植民 国土・国境と越境・超域の時代概観
【第9回】
 地球規模の地政学の時代 カール・シュミットとハウスホーファー  基本参照図書カール・シュミット『大地のノモス』、広域秩序とアングロ・サクソンの海洋秩序に対する日独大陸ブロック構想(カール・ハウスホーファー『太平洋地政学』)
【第10回】
 交通通信情報コミュニケーション革命の概観
【第11回】
 メディア革命 書籍から映像へ 基本参考文献 F. Kittler 『グラモフォン・フィルム・タイプライター』
【第12回】
 1989年「ベルリンの壁崩壊」以後の現代世界。超域化する公共空間と個人のニッチ化。(基本参考図書ジェレミー・リフキン『ヨーロピアン・ドリーム』
【第13回】
 地域統合の時代。アジアの近代史再見 東アジア共同体。基本参照文献三谷博『大人のための近現代史』、三谷博・金 泰昌『東アジア歴史対話 国境と世代を超えて』
【第14回】
 超域文化と世界共和国構想(基本参考図書 柄谷行人『世界史の構造』)
【第15回】
 まとめ。討論。レポート提出課題の決定