Web Syllabus(講義概要)

平成23年度

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超域思想特論 I 宇多 浩
選択  2単位
【超域文化専攻】 11-1-1500-0738-05

1. 授業の内容(Course Description)
 人間の身体とは一方で物質的存在であり、科学的分析の対象になりうるものであるが、他方でそれは、各々の人間主体によってそのつど生きられるものである。これと同様に、〈病い〉という現象もまた、生理学的・解剖学的な事実として医学的分析の対象となるものであると同時に、病いを患う人間がそのつどそれとともに生き、それを通じてさまざま苦悩を生き抜くものである。その意味で、身体や病いという存在は、それに対する視点のとり方に応じて、多様な様相を呈する現象であるといえる。
 前期の講義では、このような多義的な存在である身体や病いという現象を、哲学的・人間学的な観点から解明していくことにする。なお使用する文献については、学生のレベルや要望に応じて、適宜柔軟に対応していく。
2.
授業の到達目標(Course Objectives)
 文献の読解を通じて、人間の身体や病いという現象を哲学的・人間学的な観点から考察できること。
3.
成績評価方法(Grading Policy)
 レポート(約70%)と授業への参加度(約30%)によって評価する予定。
4.
テキスト・参考文献(Textbooks)
 Merleau-Ponty, M. 『Phénoménologie de la Perception』, Gallimard, 1945.
 Toombs, S. K. 『The Meaning of Illness』, Kluwer, 1993.
 Sontag, S. 『Illness as Metaphor and AIDS and Its Metaphor』, Picador, 1990.
 その他の文献は、講義中に適宜指示する。
5.
授業時間外の学習《準備学習》(Assignments)
 授業までに、参考文献の該当箇所を読解しておくこと。
6.
学生への要望・その他(Class Requirements)
 授業・レポート作成においては英文資料の読解が要求されるので、そのつもりで授業に臨むこと。
 中途半端な学習姿勢では、単位を取得することは決してできない。
7.
授業の計画(Course Syllabus)
【第1回】
 講義内容の概要
【第2回】
 現象学的アプローチの基本特徴
【第3回】
 生活世界と客観的世界
【第4回】
 身体の現象学 (1) 主体としての身体
【第5回】
 身体の現象学 (2) 身体と生活世界
【第6回】
 身体の現象学 (3) 客体としての身体
【第7回】
 身体の現象学 (3) 身体の両義的存在
【第8回】
 身体経験と病い (1) 病人の生活世界
【第9回】
 身体経験と病い (2) 病人にとっての身体
【第10回】
 身体経験と病い (3) 科学的対象としての病い
【第11回】
 病いの哲学 (1) 病いの体験の諸段階
【第12回】
 病いの哲学 (2) 病いの個人的意味
【第13回】
 病いの哲学 (3) 病いの文化的意味
【第14回】
 病いの哲学 (4) 病いの意味と苦悩
【第15回】
 講義のまとめ