1. |
授業の内容(Course Description) |
|
人が他者と共に生きるとき、そこには自ずと「私はどのように行動すべきか」という行動の規範に関する問いが生じる。その問いは同時に「善とは何であるか」「正義とは何であるか」といった問いでもある。人間は必ずしも同じ習俗や立場を共有していない。それゆえ、上記の諸々の問いは、特殊な社会にのみ通用するような、いわゆる社会的な常識によっては解答を与えられることはできない。むしろ、異なる習俗や立場を受け入れつつも、それらを超える普遍的な行動規範としての道徳や法が求められざるをえない。これがいつの時代においても倫理学的な思索がなされてきた理由である。国際化が進み、多様な価値観が同時に存立している現代においては、善や正義の本質への問いは従来以上に重要性を増している。本講義では、西洋の哲学者たちによる倫理学的思想を歴史的に考察しながら、善や正義の本質を、それぞれの哲学者たちの拠って立つ哲学的前提との関連において探究する。そのことによってかえって現代における倫理学的な諸問題の状況を反省的に理解したい。ここでは特に古代ギリシアからカントまでの倫理思想を扱う。
|
2. |
授業の到達目標(Course Objectives) |
|
西洋の倫理思想についての歴史的考察を通じて、現代における「善」や「正義」に関する諸問題を反省的に理解できるようにする。
|
3. |
成績評価方法(Grading Policy) |
|
期末試験に出席点を加味して評価する。
|
4. |
テキスト・参考文献(Textbooks) |
|
教科書は特に指定しない。参考文献は授業中に適宜紹介する。
|
5. |
授業時間外の学習《準備学習》(Assignments) |
|
毎回資料を配布するので、目を通しておくこと。
|
6. |
学生への要望・その他(Class Requirements) |
|
講義は主に歴史研究の形で進められるが、各哲学者たちが取り上げた倫理学的な諸問題を、現代に生きる自分自身の問題として受け止めてほしい。
|
7. |
授業の計画(Course Syllabus) |
|
【第1回】 イントロダクション 【第2回】 プラトンの倫理思想(1) 【第3回】 プラトンの倫理思想(2) 【第4回】 アリストテレスの倫理思想(1) 【第5回】 アリストテレスの倫理思想(2) 【第6回】 アウグスティヌスの倫理思想 【第7回】 トマス・アクィナスの倫理思想 【第8回】 エラスムスとルターの自由意志論争(1) 【第9回】 エラスムスとルターの自由意志論争(2) 【第10回】 デカルトの倫理思想 【第11回】 ヒュームの倫理思想(1) 【第12回】 ヒュームの倫理思想(2) 【第13回】 カントの倫理思想(1) 【第14回】 カントの倫理思想(2) 【第15回】 まとめ・期末試験
|