Web Syllabus(講義概要)

平成23年度

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バイオサイエンス I 益子 計夫
3群  2単位
【三群】 11-1-1607-0487-01

1. 授業の内容(Course Description)
 それぞれの生物は、種、集団および個体を基本単位として固有の形態的、生理的、生態的特性をもって生存している。これらは、共通の祖先種(集団)が、その遺伝的連続性(時間的つながり)を保ちながら、さまざまな方向へと多様化した結果によるものである。ヒトという生物種も、この「生命の糸」の延長上にあることを忘れてはならないだろう。このような連続性と多様性の基盤となるものが、遺伝子として書き込まれた情報の伝達と、その過程で生ずる遺伝的変異である。
 本担当者によるバイオサイエンス I・II は通年受講を想定してプログラムされている。その中で、バイオサイエンス I では特に個体もしくは細胞レベルにおける遺伝のしくみに焦点をあて、生命のありように関して理解を深めることを目的とする。なお、Iだけを履修することは差し支えない。
2.
授業の到達目標(Course Objectives)
 生命の在り方に理解を深め、たとえばヒトの遺伝的疾患の背景や遺伝様式などに関して自分自身で考え、自分自身の言葉で説明できるようになること。
3.
成績評価方法(Grading Policy)
 期末試験(成績評価上のウエイトとして、おおよそ80%)および出席状況や随時の取り組み課題等(同20%)により総合的に評価する。
4.
テキスト・参考文献(Textbooks)
 テキスト:『人間の遺伝学』S. シンガー 著(関谷 訳)、東京化学同人
 参考文献:『エッセンシャル遺伝学』ハートル&ジョーンズ 著、培風館
『遺伝学の誕生』中沢信午 著、中央公論社
『DNAの一世紀I』『DNAの一世紀Ⅱ』ポーチュガル&コーエン 著、岩波書店
『ヒトの変異』A. M. ルロワ 著、みすず書房
『偶然と必然』J. モノー 著、みすず書房
5.
授業時間外の学習《準備学習》(Assignments)
 最初に教科書の春季学習相当部分を通覧すること。また、各週の受講にあたり、講義該当部分を事前に読んでおくこと。講義終了後は、知識の確認・補完上、上記参考文献を参照することが望ましい。
6.
学生への要望・その他(Class Requirements)
 講義内容に関して明確な学習意図をもって、受講すること。単に単位数を満たすという目的では、講義する側、受ける側双方にとって不毛である。
 また、物事の正しい理解のためには知識の積み重ねが大切であり、欠席は次回以降の受講上支障となることに十分留意されたい。初回の講義には必ず出席すること。各講義時の出欠記録はカードリーダーによる。正規開始時刻から20分を過ぎた遅刻は出席扱いとしない。規定回数(2/3以上)の出席は必須である。
7.
授業の計画(Course Syllabus)
【第1回】
 はじめに
  講義の概要と履修上の注意、説明をおこなう。
【第2回】
 メンデル遺伝学-1. メンデルによって提示された遺伝に関する洞察と仮説的理論(遺伝粒子説)の基本を理解する。
【第3回】
 メンデル遺伝学-2. メンデルの仮説の検証、特に「分離の法則」と減数分裂との関連を学ぶ。
【第4回】
 メンデル遺伝学-3. 染色体、および染色体不分離による遺伝性疾患を理解する。
【第5回】
 メンデル遺伝学-4. 独立と連鎖という現象について、「遺伝の染色体説」の観点から理解を深める。
【第6回】
 ヒトのメンデル遺伝形質-1. 常染色体優性、劣性、およびX連鎖、Y連鎖形質の概略と遺伝様式を理解する。
【第7回】
 ヒトのメンデル遺伝形質-2. 同上(続)
【第8回】
 ヒトのメンデル遺伝形質-3. 同上(続)
【第9回】
 遺伝子のつくりと働き-1. 遺伝子の物質的基盤である核酸、さらにその一次産物であるタンパク分子(ポリペプチド)について、基本的理解をはかる。
【第10回】
 遺伝子のつくりと働き-2. DNA上の遺伝情報はどのようにmRNAに転写され、タンパク質に翻訳されるのか、その概略を把握する。
【第11回】
 遺伝子のつくりと働き-3. 同上(続)
【第12回】
 遺伝子のつくりと働き-4. 同上(続)
【第13回】
 DNAの複製と突然変異-1. DNAの複製原理と突然変異を理解する。
【第14回】
 DNAの複製と突然変異-2. 同上
【第15回】
 ヒト先天性代謝異常をひきあいに、遺伝現象理解に関する古典的および分子的アプローチの橋渡しとして「優性の法則」の意義を再確認する。