Web Syllabus(講義概要)

平成23年度

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基本文献研究A I 木村 康平
選択  2単位
【日本文化】 11-2-2110-0181-05

1. 授業の内容(Course Description)
 古事記を読みます。
 古事記は和銅5年(712)に成立したと、その序文にしるされる、わが国に現存する最古の書物です。上・中・下の3巻からなり、上巻は世界の始まりからカムヤマトイハレビコノミコト(神武天皇)の誕生までの神代、中巻は神武天皇から応神天皇までの、神と人の中つ代、下巻は仁徳天皇から推古天皇までの人代を語り、推古天皇までを古代とする歴史認識のもとに編まれています。
 天皇王権の由来と正統性を、神話に規範を仰ぎつつ説くもので、中巻には神武東征やヤマトタケ(ル)ノミコトの全国征旅など、王権の確立を語る物語が置かれています。一方で、サホビコ・サホビメきょうだいの叛乱伝承など、王権に抗して倒れた人々の物語をもしるし、その悲劇性が古事記の豊かな文学性のみなもとともなっています。また、下巻には儒教的君子仁徳天皇を先立てて、人の代の、国の統治のあり方が、多くの恋物語に絡めて語られています。
2.
授業の到達目標(Course Objectives)
 古事記の神話や説話を読むことを通じて、古代の人々のものの考え方や生き方にふれ、また、古代文学に関する基礎的な知識を習得することを目標とします。
3.
成績評価方法(Grading Policy)
 期末試験(40%)と出席点を含む平常点(60%)をあわせて評価します。平常点には授業中に課す小レポート(2回程度)の評価を含みます。ただし、出席を重視します。
4.
テキスト・参考文献(Textbooks)
 テキスト:『新版 古事記』(中村啓信訳注、角川学芸文庫)
 参考文献:『古事記の世界』(西郷信綱、岩波新書)など、授業時に紹介します。
5.
授業時間外の学習《準備学習》(Assignments)
 ・次の授業で取り上げる箇所について、テキストをよく読んでおくこと。
 ・授業時に紹介した参考書などにふれる機会をもつこと。
 ・自ら疑問をたて、それについて考える習慣を身につけるようにすること。
6.
学生への要望・その他(Class Requirements)
 出席することが大切です。遅刻をしないこと。また、授業マナーは守りましょう。
7.
授業の計画(Course Syllabus)
【第1回】
 古事記とは何か(古事記の成立・編者・文体など)①
【第2回】
 古事記とは何か②
【第3回】
 古事記序文について(歴史書の編纂と王朝)
【第4回】
 世界のはじまりをどう語るか
【第5回】
 イザナキとイザナミ―兄妹婚と世界の立てなおし
【第6回】
 黄泉の国訪問(死者の世界はどのように考えられていたか)
【第7回】
 死のけがれの中からうまれ出た、世界を統べる者
【第8回】
 理知的な姉アマテラスと乱暴者の弟スサノヲの相剋(秩序・破壊・再創造)
【第9回】
 身を隠すアマテラス―天の岩戸神話(太陽の死と再生)
【第10回】
 スサノヲの女神殺害(穀物の起源と大地母神)
【第11回】
 ヤマタノヲロチ退治(自然神から新しい文化神への交代)
【第12回】
 大国主神と因幡の素兔(呪医としての王―王の資格とは何か)
【第13回】
 大国主神の受難と根の国訪問(王は異界の力を身に帯びて統治する)
【第14回】
 八千矛神をめぐる愛と嫉妬の歌
【第15回】
 まとめ