Web Syllabus(講義概要)

平成23年度

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企業会計法B 上條 克彦
選択  2単位
【法律】 11-1-1210-3072-04

1. 授業の内容(Course Description)

 会社は、経済社会の主役として、あるいは多くの人にとってはその生涯をかける場所として、私たちの生活に大きく関わります。

 会社の実体は、「カネとモノ」であり、株主の所有物です。

 しかし同時に、会社は独立した社会的実在であり、独自の意思を持ち(社団)、権利能力を有して(法人)、「カネとモノ」を動かします(営利)。

 この場合には、株主は、単なる「カネとモノ」の拠出者となり、債権者(他の資金拠出者)、投資家(潜在的株主)、取引先、国家(全国民)などと並んで、会社の利害関係者(ステーキホールダー)の一員にすぎなくなります。

 企業会計とは、会社がその利害関係者に対して、その活動状況と成果を認識、測定し、報告する行為ですが、さまざまな利害関係者の利益を保護するため、会社法、金商法、法人税法などにより規制されています。

 「企業会計法A、B」は、主として会社法に基づき、金商法や法人税法等との差異にも留意しながら、会社の「カネとモノ」の支配構造と、損益計算・分配のしくみについて考察します。
2.
授業の到達目標(Course Objectives)

 「会社の利益に対する株主、投資家、債権者、税務当局の見方は、それぞれ異なる。」

 この言葉の意味の理解と、「カネとモノ」の支配構造及び損益計算・分配のしくみについての基礎知識(「7 授業計画」に掲げる項目)の習得。
3.
成績評価方法(Grading Policy)

 出席状況、小テスト(3回)の結果、期末レポートの内容の総合評価
4.
テキスト・参考文献(Textbooks)

 テキスト: 宍戸 善一 『ベーシック会社法入門(第6版)』 (日本経済新聞社)
 
  
5.
授業時間外の学習《準備学習》(Assignments)

 あらかじめテキストを読みこみ、自分なりの考え方を用意した上で、主体的に授業に参加してください。 
 
6.
学生への要望・その他(Class Requirements)

 企業会計Aと企業会計Bを併せて受講してください。
7.
授業の計画(Course Syllabus)

第1回 (企業会計法A) プロローグ (テキスト P1~16)

・ 株式会社
・ 株式の役割
・ 会社の組織変動
・ 会社の機関
・ 資金調達
・ 損益計算と分配

第2回 (企業会計法B) 企業活動と法① (テキスト P16~23)

・ 個人企業、組合、匿名組合、有限責任事業組合
・ 法人格
  
第3回 (企業会計法A) 企業活動と法② (テキスト P24~34)

・ 合名会社
・ 合資会社
・ 株式会社

第4回 (企業会計法B) 企業活動と法③ (テキスト P24~33)

・ 取締役会非設置会社、
・ 合同会社(LLC)
・ 有限責任事業組合(LLP)
・ 匿名組合
・ 持分会社

第5回 (企業会計法A) 企業活動と法④ (テキスト P35~40)

・ 利害関係者 
・ 会社法、金商法、法人税法

第6回 (企業会計法B) 株式会社とは① (テキスト P41~47)

・ 会社の支配(ヒト)
・ 出資(モノ・カネ)
・ 上場と非上場
   
第7回 (企業会計法A) 株式会社とは② (テキスト P47~54)

・ 会社の支配と出資の関係
・ 上場会社と非上場会社
・ コーポレートガバナンス

小テスト① (第1回~7回)

第8回 (企業会計法B) 株式会社の機関① (テキスト P55~60)

・ 多数株主、少数株主、
・ 機関の分化と意思決定

第9回 (企業会計法A) 株式会社の機関② (テキスト P60~66)

・ 代表取締役; 代表権
・ 取締役会: 重要な業務執行、代表取締役の監督

第10回 (企業会計法B) 株式会社の機関③ (テキスト P66~73)

・ 取締役会の進め方
・ 取締役の選任

第11回 (企業会計法A) 株式会社の機関④ (テキスト P73~79)

・ 忠実義務
・ 役員報酬
・ 利益相反
・ 競業取引
    
第12回 (企業会計法B) 株式会社の機関⑤ (テキスト P79~88)

・ 会社に対する責任
・ 責任の制限
・ 株主代表訴訟
・ 第三者に対する責任
     
第13回 (企業会計法A) 株式会社の機関⑥ (テキスト P88~95)

・ 会計監査と業務監査
・ 監査役、会計監査人、監査役会、監査委員会、会計参与

第14回 (企業会計法B) 株式会社の機関⑦ (テキスト P95~103)

・ 株主総会の決議
・ 株主総会の進め方
・ 総会決議の瑕疵を争う訴訟

第15回 (企業会計法A) 株式会社の機関⑧ (テキスト P103~111) 、

・ 株主の権利義務
・ 少数株主権
・ 株主平等原則、多数決濫用法理、忠実義務違反
・ 決議無効、決議取消、損害賠償

小テスト② (第8回~15回)

第16回 (企業会計法B) 株式の役割① (テキスト P113~122)

・ 出資と支配 
・ 株式と資本金
・ 株式の分割と併合

第17回 (企業会計法A) 株式の役割② (テキスト P122~127)

・ 額面、単位株、端株
・ 種類株式、自益権、共益権
 
第18回 (企業会計法B) 株式の役割③ (テキスト P127~133)

・ 株式の譲渡・担保化
・ 出資の回収、譲渡制限

第19回 (企業会計法A) 株式の役割④ (テキスト P133~138)

・ 自己株式
・ 証券市場、金商法

第20回 (企業会計法B) 会社の資金調達手段① (テキスト P139~148)

・ 資金調達、自己資本比率
・ 内部資金と外部資金
・ 株式、社債、借入金

第21回 (企業会計法A) 会社の資金調達手段② (テキスト P148~158)

・ 株主割当増資、公募増資、第三者割当増資
・ 既存株主の保護
・ 新株予約権

第22回 (企業会計法B) 会社の資金調達手段③ (テキスト P158~163)

・ 社債発行
・ 普通社債、転換社債、ワラント社債
・ 社債発行に対する法規制

第23回 (企業会計法A) 損益の計算と分配① (テキスト P165~168)

・ 利益処分をめぐる利害対立

第24回 (企業会計法B) 損益の計算と分配② (テキスト P168~176)

・ 貸借対照表と損益計算書
・ 企業会計と会社法

第25回 (企業会計法A) 損益の計算と分配③ (テキスト P176~182)

・ 株主への利益還元
・ 配当政策

第26回 (企業会計法B) 損益の計算と分配④ (テキスト P182~187)

・ 損失の処理と倒産対策

小テスト③ (第16回~第26回)

第27回 (企業会計法A) 会社の組織変動① (テキスト P189~197)

・ 会社の設立

第28回 (企業会計法B) 会社の組織変動② (テキスト P197~202)

・ 法人格の取得
・ 会社の解散、清算

第29回 (企業会計法A) 会社の組織変動③ (テキスト P202~207)

・ 合併
・ 事業譲渡

第30回 (企業会計法B) 会社の組織変動④ (テキスト P207~215)

・ 会社分割、分社
・ 株式交換、株式移転
・ 親子会社法制

期末レポート

・ 「会社の利益に対する株主、投資家、債権者、税務当局の見方は、それぞれ異な
  る。」 という言葉の意味