Web Syllabus(講義概要)

平成23年度

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国民経済計算 II 林  英機
選択  2単位
【経営】 11-1-1110-1597-12A

1. 授業の内容(Course Description)
 国民経済計算Ⅰに続き、国民経済計算の諸勘定とそれを巡る経済統計によって経済の動きを見るとともに経済理論の理解に役立つようなその見方・使い方について考えていきたい。所得が増えても物価が上がれば実質的に生活は豊かにならない。このような物価水準の測定は国民経済計算にとっても重要である。また、最近では国際収支の状況がかなり危うくなっている。雇用や失業の動きや生産の動向も国民経済計算の注目するところである。金融統計や国民がもっているといわれる資産の統計も注目されるところである。このような諸統計から見られる動向を様々な関連統計とともに国民経済計算という究極のマクロ経済統計を中心において解説したい。
2.
授業の到達目標(Course Objectives)
 新聞や経済雑誌には公表された様々な経済統計が頻繁に掲載される。そのような経済統計の意味や意義が理解できるようになることが第一の目標であるが、さらに進んでマクロ経済学の理解の進化やマクロ経済分析への適用を可能にすることがさらなる目標である。
3.
成績評価方法(Grading Policy)
 主として期末試験の成績によるが、途中で授業の理解度を確かめるために2~3回のレポートの提出を求める。そのようなレポートは授業の理解に役立つだけでなく、成績の評価にも関係してくるので軽視しないで必ず提出してもらいたい。
4.
テキスト・参考文献(Textbooks)
 授業はプリントと統計資料の配布によって行なう。プリントや資料は当該講義時の出席者のみに配布する。国民経済計算をはじめとする経済統計の解説書には様々なものがあるが、それらは講義の進行の中で適宜紹介する。
5.
授業時間外の学習《準備学習》(Assignments)
 講義プリントは前週に配布する予定であるので、事前に目を通しておくことが望ましい。
6.
学生への要望・その他(Class Requirements)
 新聞などに掲載される経済記事や経済統計に目を配ることは、この授業だけではなく、経済の実態をよりよく理解するためにも有益である。講義プリントや資料は配布当日の出席者のみに配布し、特別の事情がない限り後日の配布はしないので、欠席しないようにしてもらいたい。
7.
授業の計画(Course Syllabus)
【第1回】
 講義の内容と計画。その時点における取り敢えずの統計からみた日本経済の状況についても話してみたい。
【第2回】
 物価の動きは最も興味深い統計計数であるであろう。国民経済計算においても単なる名目的な所得増加や消費増加よりも物価上昇を差し引いた実質的な所得増加や消費増加の方が重要である。実質計数の計算は物価指数による割引によって行われる。国民経済計算における物価を測定する指標はデフレーターとよばれる。ここでは物価指数及びそれを用いて作成される国民経済計算におけるデフレーターについて話してみたい。
【第3回】
 物価指数のそもそもの目的は様々なモノやサービスの価格の総合的な価格水準の変化を測定することである。このような物価水準を測定するための物価指数といわれるものの計算方法には様々がある。そのような物価指数の計算方法について説明する。
【第4回】
 物価指数については様々な算式があり、そのような指数算式のより詳細な計算方法とそのような計算式の理論的得失について検討してみたい。
【第5回】
 日本においても様々な物価指数が作成されている。代表的な物価指数として消費者物価指数と企業物価指数について説明する。
【第6回】
 国民経済計算において実質化のために使用される物価指数をデフレーターというが、デフレーターとそれによって作成される実質値の性質と実際の計数について説明する。
【第7回】
 外国との取引を総合的に取り扱う統計を国際収支表という。国際収支表の構成とその国民経済計算との関係を説明し、貿易収支が日本経済において果たしてきた役割を考えたい。
【第8回】
 貿易や為替の動向は現在では極めて注目されている。貿易統計、為替統計の見方について説明する。
【第9回】
 人口、労働力、失業等の推移はそれら自身としても、国民経済計算においても注目される統計である。このような統計の見方とそれらが示す問題点について説明する。
【第10回】
 生産活動の動向は経済の活力を示すものとして重要である。鉱工業生産指数、工業統計表、商業統計など生産統計の見方について説明する。
【第11回】
 産業連関表は国民経済計算の1つの中核を形成する統計であり、生産活動の鳥瞰図といえるものである。産業連関表の見方と経済分析への適用の方法を説明する。
【第12回】
 通貨や金利の動きも注目される統計である。このような金融統計とともに金融活動の鳥瞰図である資金循環勘定の見方と使い方について解説する。
【第13回】
 家計や企業のもつ資産や負債は国民貸借対照表によって記述される。その構造を説明するとともに、この統計の使用例として日本におけるバブルの発生と崩壊の過程を明らかにしてみたい。
【第14回】
 景気の動きは常に注目されるものである。景気の動向を測定する景気動向指標や日本銀行の短期経済観測など景気の動きを測定する統計の見方を説明する。
【第15回】
 この講義の締め括りとして様々な統計からみた日本経済のその時点での状況を考えてみたい。