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授業の内容(Course Description) |
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私たちは物やサービスを買ったり提供されたり、逆に売ったり提供することで生活を豊かなものにしている。また、預貯金をし、住宅・自動車など価格の高いものを購入する時には足りない資金を借りて購入することもあります。企業も新たな事業展開を行うために設備を増やそうとする時に足りない資金を第3者から出して貰ったり借りたりすることがあります。この資金の貸し借りや資金の提供を受ける出資が金融です。 経済活動はカネを介して行われますから資金の貸し借りが円滑に行われないと経済活動に大きな影響が出て来ます。言わば金融は経済活動に欠かせない血液です。経済活動が日本国内だけではなく他の国との間で行われ、カネの貸し借りが行われるのが国際金融です。 2008年夏以降、先進国経済の成長は低迷し、中国・インド・ブラジルなど新興国経済の成長が著しく、貿易や資本取引での国際資金フローも大きく変化しています。各国が強い相互依存関係にある現在、日本の将来を考える上で国際金融を理解しておくことが必要です。 国際金融も金融であることに変わりありませんがが、日本円と他の国の通貨の交換(外国為替)を伴うので金融に加えて外国為替やカントリーリスクを理解することも必要になります。 英国ポンド切下げ(1967年)、主要通貨の変動相場制移行(1973年)、プラザ合意(1985年)、ルーブル合意やユーロ誕生の道筋を示したドロール・プラン(1987年)など外国為替相場に大きな変化をもたらした国際通貨制度の変遷に英国・ベルギー・米国で遭遇した現場体験を伝えつつ、日々の生活に影響する国際金融を学び考える。春期の「日本の国際金融I」、秋期の「日本の国際金融II」の両方で完結する講義となる。
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授業の到達目標(Course Objectives) |
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2008年夏のリーマン・ショックを契機に顕現化した世界金融危機、2009年のドバイ危機、2010年に表面化したギリシャ危機などは一体何であったのか、何故それが起こったのか、こうした危機に各国はどのように対処しようとしているのかなど、新聞・雑誌・テレビなどで報道される国際金融の動きを理解し、自らの考え方をまとめ意見を述べる力を養う。
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成績評価方法(Grading Policy) |
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原則として5回の授業が終わる毎に理解度を確認のため授業内小テストを行います。授業出席で50%、小テストで50%の総合評価をします。
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テキスト・参考文献(Textbooks) |
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テキスト:なし 参考文献:秦保夫・本田敬吉著『国際金融のしくみ・新版』有斐閣 国際通貨研究所編『国際金融読本』東洋経済新報社
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授業時間外の学習《準備学習》(Assignments) |
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国際金融の理解を深める国際経済概論、貿易概論などの履修を勧めます。
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学生への要望・その他(Class Requirements) |
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海外旅行をしたり、インターネットで海外から書籍などを買えば日本円と他の通貨の交換をせざるを得ません。私たちの生活が外国との輸出入取引で大きく支えられている現実に目を向け、日々新聞などで報道される国際金融について高い問題意識を持つことを期待します。秋期の「日本と国際金融 II 」を継続受講して下さい。
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授業の計画(Course Syllabus) |
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【第1回】 金融、経済と金融などガイダンス 【第2回】 国際金融とは 【第3回】 国際資金フロー 【第4回】 貿易取引決済 【第5回】 国際融資 【第6回】 プロジェクト・ファイナンス 【第7回】 国際資本取引 【第8回】 機関投資家 【第9回】 直接投資 【第10回】 オルタナティブ投資・M&A 【第11回】 公的金融 【第12回】 日本の国際収支 【第13回】 外国為替の仕組みと形態 【第14回】 金融危機 【第15回】 補講とまとめ
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