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授業の内容(Course Description) |
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「国際金融」などという言葉は、一昔前まで、「特別な仕事」をしている一部の人にしか関係ないもの、と思われていたが、今や、海外旅行、輸入雑貨・食品、あるいは資産運用手段としての海外投資信託などを通して、事実上、我々個人の生活レベルにまで入り込んでいる。また、米国のサブプライムローン問題に端を発し、リーマン・ショック、そして世界中を巻き込むことになった「百年に一度」の金融経済危機は、海の向こうの本来的にはローカルな問題ですら、日本の、しかも海外とは縁遠い地域経済にまで大きな影響を及ぼすことを明らかにしてみせた。 この授業では、異なる主権国家間の、また異なる通貨を通じての、金融・資本取引がどのような枠組みのもとで、どのように行われてきたか(いるか)、また、戦後一貫して国際金融の中心に位置していた米ドルの立場の揺らぎ、グローバル化の進展、新興国の台頭などを背景に、今、国際金融の分野で何が問われているかなどを、私の実務経験等も織り交ぜつつ解説する。 後期の「日本と国際金融Ⅱ」では、戦後の「ドル本位制」、ユーロ・新興国の台頭、さらにはリーマン・ショックに代表される通貨危機とその後の対応策などについて勉強する。
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授業の到達目標(Course Objectives) |
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国際的な金融・資本取引の歴史、基本的な枠組み等(制度・取引慣行など)を理解し、国際金融が、国内金融とどのような点で異なり、また、固有の問題解決のためにどのような国際協力が行われてきた(いる)のかを理解すること。国際支援の面で、国際金融が果たしている(果たすべき)役割を理解すること。
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成績評価方法(Grading Policy) |
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提出レポート・期末テスト50%、出席・受講姿勢50%を目安として総合的に評価します。レポート・期末テストについては、記述内容の「正確さ」よりも、「いかに自分なりに考えたか」に評価の重点をおきます。
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テキスト・参考文献(Textbooks) |
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テキスト:奥田・神澤『現代国際金融(第2版)』法律文化社 参考文献:深尾光洋『国際金融講義』日本経済新聞出版社 宮﨑哲也『国際金融の基本と仕組みがよ~くわかる本』秀和システム
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授業時間外の学習《準備学習》(Assignments) |
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毎回、次週の講義内容を予告しますので、テキストの該当ページに目を通し、必ず幾つかの質問を用意するようにしてください(授業時間の最後に質問の時間を設けます)。また、新聞・テレビ等の経済ニュースを、授業内容に関連付けて見るようにしてください。
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学生への要望・その他(Class Requirements) |
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言葉(略語も)の意味も含め、分からないこと、疑問に思ったことがあったら、「すぐに調べる」クセを身につけてください。また、「経済」には「数字」が付き物です。授業で学んだことを極力統計データにより確かめてください。いずれもwebベースで結構ですが、こうした日頃の積み重ねが後々の結果に繋がります。
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授業の計画(Course Syllabus) |
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【第1回】 戦後「ドル体制」の変遷(1) 【第2回】 戦後「ドル体制」の変遷(2) 【第3回】 国際金融資本取引の急拡大とその背景(1) 【第4回】 国際金融資本取引の急拡大とその背景(2) 【第5回】 欧州通貨統合とユーロ(1) 【第6回】 欧州通貨統合とユーロ(2) 【第7回】 資本取引の自由化とエマージング諸国の通貨危機(1) 【第8回】 資本取引の自由化とエマージング諸国の通貨危機(2) 【第9回】 東アジア通貨と「共同体」の可能性(1) 【第10回】 東アジア通貨と「共同体」の可能性(2) 【第11回】 アメリカ発の金融危機(1) 【第12回】 アメリカ発の金融危機(2) 【第13回】 欧州そして世界金融危機への波及と基軸通貨ドルのゆくえ(1) 【第14回】 欧州そして世界金融危機への波及と基軸通貨ドルのゆくえ(2) 【第15回】 まとめ
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