Web Syllabus(講義概要)

平成23年度

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国際理解 VI - II 辻本 甫
選択  2単位
【人間文化】 11-1-1210-2774-04A

1. 授業の内容(Course Description)
 国際関係は、多様であり、変容、変動にみちている。
 授業においては、2つ世界大戦、冷戦、ポスト冷戦といった歴史的な展開をおさえ、また国際社会における行為主体の多様化などの国際社会秩序の変遷もおさえつつ、国際現象をどう把握、説明していけばいいのか考えていきたい。
 国際関係論という領域においては、これまでさまざまな研究がなされ、多くの理論も提起されてきているので、いくつかに分類される理論の枠組みとその背後にある思想的系譜を体系的に比較もしながら考察を加えていきたい。
 主要な個別的事例にもあたっていくが、とくに最近の大きな出来事であった米国同時多発テロやイラク戦争を振り返り、国際社会によるこれらの危機への対応の検証も試みたい。
 加えて、理解の重要性が増しているとされながらわが国一般からは依然縁遠いうらみのあるイスラム圏について、年間の授業を通して、その歴史や動きを意識的にとりあげるようにしていきたい。
2.
授業の到達目標(Course Objectives)
 大学を卒業後実社会のいかなる分野に進んでいくにせよ、国際関係と係わりなしに済まされることは考えられない。
 まず国際関係に係わる基本的知識を身につけたい。
 同時にそういう知識もさることながら、国際関係論の大枠を押さえ国際関係において生起する事象を理論により分析する姿勢、意識を身につけるようにしたい。
 もって国際社会を観る上でのより豊かな観察力を養い、卒業後も自らそれぞれの見解をもて、課題にも取り組んでいけるようにしたく、そのための基礎を学ぶ。
3.
成績評価方法(Grading Policy)
 出席を最も重視する。
 基本部分の理解について試験や小テストの実施も検討する。
4.
テキスト・参考文献(Textbooks)
 『グローバル社会の国際関係論』(大矢根聡、山田高敬編著:有斐閣コンパクト)を基本テキストとする。
 その他の文献、資料などは授業のなかで提示する。
5.
授業時間外の学習《準備学習》(Assignments)
 時間外にテキストにあたっておいたり、国際報道をフォローしておいたりすることは、たいへんに大事なことである。
 ただこの授業に関する限り、その上で欠席するようなことがあるとしたら、全くの本末転倒である。
 まず何はさておいても授業に出る。
 その授業時間内は最低集中して聴く。
 配布資料もよく参照する。
 授業あっての準備学習。
 そう認識願いたい。
6.
学生への要望・その他(Class Requirements)
 学問としての国際関係論は、日ごとに複雑さを増す国際社会を対象とするが故に考察は多岐にわたり、かつ時としてかなり学究的と映ることもあると思われる。
 具体的な事例も織り交ぜつつ履修学生と共に歩む精神で進めていきたい。
 履修学生による出席と特段の頑張りを願っている。
 授業内容は進行により変わることがあり、変わる場合はその都度説明するので常時フォローするようお願いする。
7.
授業の計画(Course Syllabus)
【第1回】
 国際組織からみた国際関係(囚人のジレンマ 国際組織創設の動因)
【第2回】
 国際組織からみた国際関係(国際連盟と国際連合)
【第3回】
 国際組織からみた国際関係(勢力均衡 集団安全保障)
【第4回】
 国際組織からみた国際関係(集団的自衛権 国連憲章と武力行使 イラク危機)
【第5回】
 国際政治経済(専門的国際組織 ブレトンウッズ体制 経済外交)
【第6回】
 石油危機とオイルマネー(中東戦争とアラブ石油戦略 石油の金融商品化 リーマンショック)
【第7回】
 第三世界と南北問題、経済開発論
【第8回】
 地域主義の抬頭(EUの統合と超国家性 FTA)
【第9回】
 人口、食糧、資源問題と国際関係
【第10回】
 国境を越える問題(地球規模の環境問題)と国際関係
【第11回】
 国境を越える問題(人権、難民、国境を越える人の移動)と国際関係
【第12回】
 国境を越える問題(情報化)と国際関係
【第13回】
 人間の安全保障
【第14回】
 文明間の対話、理解の促進(「文明の衝突」、イスラム脅威論)
【第15回】
 国際関係と日本(連合国の占領下でとられた日本の進路の選択)