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授業の内容(Course Description) |
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中国の歴史展開は、新石器定住濃厚文化の発祥以来、王朝の成立を経て現代中国に至るまで、いくつかの非漢民族によるいわゆる「征服王朝」の時代が介在するものの、伝統と文化の断絶のない唯一の歴史世界である。したがって、中国の歴史をより深く知るためには時間軸に沿った通史としての理解がきわめて重要となる。 秋期の講義は、春期に続いて8世紀半ばの唐代玄宗の治世から始める。強固な中央集権を誇った大唐帝国が軍閥勢力節度使の割拠に苦しみ、遂には滅亡に至る。そして華北には五つの軍閥政権が興亡し、江南と蜀には十の地方政権が並存する五代十国という大分裂の時代に突入することになる。この大分裂を統一するのが宋である。30年来の中国現地調査での見聞や体験を交えながら講義を進める予定である。
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2. |
授業の到達目標(Course Objectives) |
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中国史固有の歴史的な専門用語、歴史上の著名な人物や歴史的地名、時代経過による中国という歴史世界の広がり、そして現代中国との関連性を理解することを目標とする。
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成績評価方法(Grading Policy) |
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出席点を加味しながら、原則として学期末の定期試験に基づいて評価する。試験では自筆ノ−トの持込みを可とするから、板書を正確にまとめること。
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テキスト・参考文献(Textbooks) |
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参考書:愛宕 元・冨谷 至 編『中国の歴史』上、愛宕 元・森田 憲司 編『中国の歴史』下(昭和堂)。
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授業時間外の学習《準備学習》(Assignments) |
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唐代から五代十国時代に関する通説的な概説書は数多く出版されているが、それらの内の2・3種類を秋期の講義に並行して通読してほしい。本講義が一般的な通説とは異なるユニークな内容であることが理解してもらえるであろう。
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6. |
学生への要望・その他(Class Requirements) |
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東洋史概説 I と連続した講義内容となっているので、 I の受講者は引き続き受講するのが望ましい。板書を中心とした講義となるので、毎回自分でノートをしっかりまとめることを強く要望する。
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授業の計画(Course Syllabus) |
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【第1回】 唐代前半史の概観 【第2回】 玄宗期に勃発した安史の乱、中央集権体制の崩壊と軍閥節度使の各地での割拠 【第3回】 節度使権力(藩鎮)の構造、地方行政権と軍事権 【第4回】 780年の両税法実施による藩鎮締め付け、藩鎮側の反発そして連合しての反乱へ 【第5回】 11代憲宗(在位805~20)期の藩鎮抑圧と一時的な中央集権の回復 【第6回】 憲宗の藩鎮抑圧策の反動、地方の治安維持力の低下と中小反乱の続発 【第7回】 諸反乱の最終的な大爆発、黄巣の乱 【第8回】 黄巣の乱の勃発から崩壊に至る過程 【第9回】 唐朝の事実上の解体、雑多な出身の節度使による群雄割拠、五代十国時代へ 【第10回】 五代政権の興亡、約50年間に後梁・後唐・後晋・後漢・後周の五軍閥政権が興亡 【第11回】 後周世宗柴栄(在位954~59)の統一事業とその挫折 【第12回】 十国政権、華北とは異なりなぜ十カ国が並存することが出来たのか 【第13回】 960年の宋の成立、979年に後周世宗の戦略に忠実に従って全国統一を達成 【第14回】 宋の統一過程 【第15回】 中国中世から近世への大きな歴史転換期に果たした後周世宗、宋太祖(兄)、宋太宗(弟)の役割 学期末試験を実施
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