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授業の内容(Course Description) |
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「世界の四大文明」発祥の地とされるのが、西アジアのティグリス・ユーフラテス川流域、エジプトのナイル川流域、インドのインダス川流域、そして中国の黄河・長江流域です。この中で中国だけが断絶のない連続した歴史を展開してきました。それゆえに、中国の歴史、さらには現代中国を理解する上でも、連続した通史としてながめることがとても重要となります。本講義では、中国史上で歴史を大きく動かした人物や出来事を中心に通史として述べます。秋期は唐代中期の大反乱である安史の乱後の時期から始めます。そして唐の滅亡とその後の大分裂時代である五代十国期にまで言及することになるでしょう。30年来の中国での現地調査で得られた見聞や体験をまじえて講義を進める予定です。
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授業の到達目標(Course Objectives) |
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中国の歴史を時間軸に沿った通史として理解することを主目標とします。とくに唐代中期から中国社会が大きく変動し始めて、次の宋代にかけて「唐宋変革」と呼ばれる中国史上最大の時代変化が生じることを理解しましょう。
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成績評価方法(Grading Policy) |
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授業参加状況を加味しながら、原則として学期末の定期試験によって評価します。
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テキスト・参考文献(Textbooks) |
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参考書:愛宕元・冨谷至編『中国の歴史』上(昭和堂、2,300円)、愛宕元・森田憲司編『中国の歴史』下(昭和堂、2,300円)。
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授業時間外の学習《準備学習》(Assignments) |
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唐代史や宋代史に関する一般的な概説書は数多くありますので、検索してその2・3種類のものを本講義の聴講と平行して通読してください。そうすることによって、本講義の内容がいわゆるありきたりの通説とは異なる視点から中国史をとらえていることが判るでしょう。
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学生への要望・その他(Class Requirements) |
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板書講義が中心となりますので、中国史特有の漢字の固有名詞や歴史用語を正確にしっかりとノートをとるようにしてください。
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授業の計画(Course Syllabus) |
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【第1回】 唐代前半史の概観。 【第2回】 安史の乱の後遺症、唐朝の体制立て直し、節度使などの使職(令外の官)の続設。 【第3回】 広域軍事権を持つ節度使と広域行政権を持つ観察使が結合して軍閥化(藩鎮)。 【第4回】 反中央的藩鎮の自立化と唐朝中央の抑圧策の失敗。 【第5回】 11代憲宗(在位805~20)期の藩鎮抑圧策の成功による一時的中央集権の回復。 【第6回】 憲宗の藩鎮抑圧策の反動、藩鎮兵力削減による地方治安力の低下。 【第7回】 各地で社会矛盾の爆発としての中小反乱の続発。 【第8回】 唐中央は社会矛盾に対して打開策を打ち出せず、黄巣の大乱の勃発に至る。 【第9回】 黄巣の乱の歴史的性格、乱により唐朝は事実上解体。 【第10回】 乱後には雑多な出身の新たな節度使勢力による激烈な権力争奪の戦い。 【第11回】 大分裂の時代、五代十国の開幕。 【第12回】 五代、華北に五軍閥政権が興亡、後梁→後唐→後晋→後漢→後周。 【第13回】 後梁建国者の朱全忠、後唐の李存勗、後晋の石瑭、後漢の劉知遠、後周の郭威。 【第14回】 十国、江南や蜀には十国が並存、華北の五代興亡との際立った差異。 【第15回】 後周2代世宗柴栄の統一戦略とその挫折、学期末試験を実施。
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