Web Syllabus(講義概要)

平成23年度

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ジャーナリズム研究 山口  仁
選択  2単位
【現代ビジ】 11-1-1350-2717-09A

1. 授業の内容(Course Description)
 「概論」では、ジャーナリズムに関する規範的議論の系譜を扱ってきた。それに対して「研究」では、社会学的視座からジャーナリズムを社会的行為の一種としてとらえ、考察を行う。特にマス・メディア報道が、事件・出来事の報道・解説を通じて現実を構築していく過程について、具体的な「社会問題」に関する事例をもとに議論を行っていく。また、マス・メディア報道という一社会的行為が「ジャーナリズムである(orない)」という現実が構築されていく過程についても解説する。そしてジャーナリズムは、これらの結節点において生じる現象であることを明らかにしていく。
2.
授業の到達目標(Course Objectives)
 規範的なジャーナリズム論とは別の観点から、ジャーナリズムについて議論できるようになること。ジャーナリズム研究に関する卒業論文を執筆するための基礎的素養を身に付けられるようになること。
3.
成績評価方法(Grading Policy)
 基本的には期末試験の点数をもとに評価を行う。また、適宜実施する課題レポートの評価も考慮する。なお出席良好者に対しては、「若干」の配慮をすることもある。
4.
テキスト・参考文献(Textbooks)
 参考文献
  大石裕(2005)『ジャーナリズムとメディア言説』勁草書房
  山口仁(2011)「社会的世界の中の『ジャーナリズム』」『帝京社会学』第24号 ※コピーを配布予定献
  大石裕, 岩田温, 藤田真文著(2000)『現代ニュース論』有斐閣アルマ
  大石裕編(2006)『ジャーナリズムと権力』世界思想社
  小林直毅編(2007)『「水俣」の言説と表象』藤原書店
 講義中にほかの参考文献に関しても指示する場合がある。
5.
授業時間外の学習《準備学習》(Assignments)
 新聞データベースを用いた課題調査レポートの作成。
6.
学生への要望・その他(Class Requirements)
 「研究」の講義は専門的・応用的な内容が多くなり、その内容も難解になるので、前もって「概論」を受講しておくことが望ましい。また、関連分野に関する基礎的素養として「マス・コミュニケーション研究(担当:山口仁)」を受講しておくと、本講義の理解が深まると思われる。なお、講義中に他者の権利を侵害したとみなされる学生に対しては退出を命じるので注意すること。
7.
授業の計画(Course Syllabus)
【第1回】
 導入(1):日本のジャーナリズム研究の現代的課題(1)
【第2回】
 導入(2):日本のジャーナリズム研究の現代的課題(2)
【第3回】
 社会の中のジャーナリズム(1):ジャーナリズム研究における多様なアプローチ(1)
【第4回】
 社会の中のジャーナリズム(2):ジャーナリズム研究における多様なアプローチ(2)
【第5回】
 現実の社会的構築・構成(1):事実の選択と排除の過程(1)
【第6回】
 現実の社会的構築・構成(2):事実の選択と排除の過程(2)
【第7回】
 現実の社会的構築・構成(3):事例解説(予定)
【第8回】
 社会問題研究の諸アプローチ:構築主義的アプローチの台頭
【第9回】
 社会問題とマス・メディア報道:水俣病事件報道を事例に
【第9回】
 不確実性下におけるジャーナリズム像の変容(1):モラル・パニック論とリスク社会論
【第10回】
 不確実性下におけるジャーナリズム像の変容(2):ダイオキシン問題報道を事例に
【第11回】
 構築される「ジャーナリズム」(1):ジャーナリズム批判という行為
【第13回】
 構築される「ジャーナリズム」(2):所沢ダイオキシン汚染報道を事例に
【第14回】
 ジャーナリズムと多重的な現実構築
【第15回】
 総括・まとめ