Web Syllabus(講義概要)

平成24年度

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高温材料学(High Temperature Materials) 橋本 敬三
3年 前期 専門科目選択 2単位
【航空・前】 12-1-0316

1.
授業目標
高温材料がジェットエンジンをはじめとする様々なエンジンに果たす役割を理解します。さらに、材料の機械的特性を支配している要因である格子欠陥をとりあげ、基礎から学びます。ミクロな格子欠陥が、高温材料の強度にどのように影響しているのか、そのメカニズムを理解し、高温材料を開発するために必要な基礎知識を学習します。
2.
授業概要
現在、ジェットエンジンのタービン入口温度は1600℃にも達しています。その高温に耐える材料が高温材料です。ジェットエンジンや火力発電所のガスタービンの性能をさらに向上させるためには、タービン入口温度を上昇させることが最も有効であり、高温材料の重要性はますます高くなっています。本講義は、ジェットエンジンを概観し、現在使われているニッケル基超合金を例にとり、高温材料の特性について基礎的な内容を講義します。なぜニッケル基超合金は高温まで強いのか?その秘密は格子欠陥(転位)が握っています。転位論を基礎にして、金属あるいは結晶の強度について幅広く理解します。
3.
準備学習(授業時間外の学習)
材料力学を予め履修しておくことが望ましい。教科書を予習・復習し、重要な科学技術用語については調べておくと理解が深まります。
4.
授業計画
高温材料を取り上げながら、材料の特性を支配しているミクロな格子欠陥について講義します。さらに、高温変形(クリープ)について講義します。
【第1回】 航空機エンジンの材料1(ジェットエンジンに使われている材料は?)
【第2回】 航空機エンジンの材料2(高温まで強いニッケル基超合金の不思議)
【第3回】 格子欠陥の種類 (点欠陥、線欠陥、面欠陥について)
【第4回】 転位論1(刃状転位とらせん転位について)
【第5回】 転位論2(転位のもつ応力場について)
【第6回】 転位論3(転位のもつ弾性エネルギーについて)
【第7回】 転位論4(転位同士の相互作用について)
【第8回】 材料の強化機構1(固溶強化について)
【第9回】 材料の強化機構2(析出強化について)
【第10回】 材料の強化機構3(分散強化について)
【第11回】 クリープと高温変形1(マクロな変形、温度およびひずみ速度の影響について)
【第12回】 クリープと高温変形2(クリープ変形とは?)
【第13回】 クリープと高温変形3(クリープを支配している因子について)
【第14回】 クリープと高温変形4(先進耐熱材料について)
【第15回】 定期試験とまとめ
5.
成績評価の方法、基準
格子欠陥とくに転位について理解し、ミクロな面から高温材料の強度について理解します。定期試験と小テストの結果によって評価します。
6.
使用テキスト及び使用教材
教科書:加藤雅治,熊井真次,尾中 晋 著「材料強度学」朝倉書店 
参考書:加藤雅治 著「入門 転位論」裳華房
7.
その他
米国のペンシルベニア大学の学部生向けに作られた教材;"Introduction to Engineering Materials" C.J. McMahon を使って,講義内容を視覚的に捉え、理解します。