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授業目標 |
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前期の授業「航空宇宙自動制御1」では、フィードバック制御の基本、制御対象の動特性の表現方法(微分方程式とラプラス変換)、ブロック線図による制御系表現法、および基本的な制御技術であるPID(比例+積分+微分)制御技術について解説し、コンピュータ実習も行ないました。 この講義は「航空宇宙自動制御1」の続編であり、古典的制御技術の基本を一通り学ぶことと航空機制御技術の理解を深めることが目標です。
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2. |
授業概要 |
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制御系の時間応答特性と動特性解析について述べた後、航空機の姿勢制御技術、経路制御技術や最新の航空機制御技術の動向について解説します。つぎに制御系のボード線図に基づいた、周波数領域での制御系解析・設計方法について説明し,コンピュータ実習も行ないます。
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3. |
準備学習(授業時間外の学習) |
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制御工学では、制御する対象の特性を数式(数学モデル)で表わして解析を行ないます。制御モデルは通常、微分方程式やそれを「ラプラス変換」と呼ばれる数学的変換により代数方程式に直した式を用います。また「PID制御」では,微分や積分を用います。一方、制御系の「周波数応答」に基づく解析・設計では、入力と出力の関係を複素数で表わし,対数グラフに表示します. したがって微分・積分・複素数・対数の基礎を理解していることが授業内容の理解に必要であり、理解不十分な場合はこれらの分野を勉強してください。 またこの授業の理解には,3年前期「航空宇宙自動制御1」の基本を理解していることが必要なので,基本事項の復習をしてください。 授業ではほぼ毎回、復習に役立つ問題を出すので、その答案を必ず提出してください。 また、次回の授業予定を知らせるので,次回授業までに教科書の該当部分に目を通し、わからない語句はできるだけ調べて,授業に臨んでください。
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4. |
授業計画 |
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第1回:制御系の時間応答(1):1次遅れ系(標準形、時定数、インパルス応答とステップ応答) 第2回:制御系の時間応答(2):2次遅れ系(標準形、固有角周波数と減衰係数、 減衰係数の値の違いによる応答の変化) 第3回:制御系の時間応答(3):2次遅れ系のインパルス応答とステップ応答,最終値の定理と定常偏差 第4回:航空機の運動と制御技術(1):航空機の機体軸と速度・角速度の表現法、制御システムの概要、 旅客機の制御システム、 第5回:航空機の運動と制御技術(2):安定性増大システム(SAS)−−縦安定と横・方向安定 第6回:航空機の運動と制御技術(3):姿勢制御システム、高度・方位制御技術 第7回:航空機の運動と制御技術(4):アクティブ制御技術:CCV機の制御方法、フェイル・セイフ、 再構成可能制御 第8回:制御系の周波数応答(1):周波数応答の考え方,周波数伝達関数、ゲイン・位相と周期波形、 第9回:制御系の周波数応答(2):複素数の計算,対数の計算,dB(デシベル)表現、 第10回:制御系の周波数応答(3):ボード線図の描き方と特徴、基本要素(積分,微分,1次遅れ系)のボード線図 第11回:制御系の周波数応答(4):直列接続系,2次遅れ系,積分系のボード線図 第12回:制御系の周波数応答(5):過渡応答と周波数応答の関係,特性根と過渡応答, 第13回:制御系の安定性:特性方程式・ボード線図と安定性の関係、位相余裕とゲイン余裕 第14回:コンピュータ実習:ボード線図による,制御系特性把握・安定化,位相余裕/ゲイン余裕の変更 第15回:まとめ,期末試験
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5. |
成績評価の方法、基準 |
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授業では,ほぼ毎回問題を出し、受講者はその答案の提出が必要です。授業への質問や要望があれば,答案とともに出してください。問題の解答や質問への答は、次の授業で説明するとともに、受講者の反応や理解度を把握して、授業を進めます。 成績評価では期末試験に重点をおくとともに、授業中に出した問題の答案内容や実習レポート内容を加味します。
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6. |
使用テキスト及び使用教材 |
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教科書:宇津井 諭(著)「絵ときでわかる機械制御」 (オーム社) (3年前期の「航空宇宙自動制御1」と同じ教科書)
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7. |
その他 |
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受講者は、3年前期の「航空宇宙自動制御1」を履修していることが望ましい。 「航空宇宙自動制御1」とこの授業を履修すれば、古典的制御技術の基本を理解することができ、実用に広く役立ちます。航空機の制御も解説するので、これらに関心のある人は積極的に履修してください。
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