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授業の内容(Course Description) |
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地方財政論の授業の目的は、現代日本の地方財政のしくみや働きをわかりやすく講義することにある。 地方財政は、日本では地方自治体とよばれる都道府県、市町村の経済活動の経済活動であって、換言すれば地方政府とはいかなる存在であり、それはどのように機能しているかということを経済的な側面から観察することが目的となる。地方政府はわれわれにとってより身近な政府であり、すなわちわれわれの日常の生活、生存にとって身近な行政サービスを行うことが主要な任務であるから、われわれは地方政府の存在やその機能についてつねに関心を払い、それがそのあるべきすがたにおいて機能しているかどうか、監視する必要がある。 そしてしれはなによりも、われわれがひとりのこらず中央・地方の政府に対する納税者であるからにほかならない。 地方財政を観察するについて最も注意を払うべきポイントは、中央(国)と地方がいかなる関係にたっているかということである。このことは「地方分権」問題としてホットな議論でもあるので、この点にとくに注意を喚起したい。日本の中央と地方の政府間財政関係は近年においておおきな編成替えを実現し、またさらなる編成替えの方向性が追求されつつあるので、最近の素材を用いながら考察していきたい。 秋期においては、国庫支出金、地方交付税、地方債などについて講義する。
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授業の到達目標(Course Objectives) |
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身近な政府である地方政府の存在を認識し、納税者としての立場から地方政府の財政との関わりについて学ぶこと。またわれわが地方政府から供給されているサービスを批判的に認識し、それを評価する問題意識を形成すること。
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成績評価方法(Grading Policy) |
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試験の成績と出席状況を総合して評価する。原則として毎回出席をとる。単位認定にあたっては最低限2/3の出席実績を前提とする。試験の実施方法(定期試験の有無、小テストの有無)については開講後、履修登録数などを考慮して授業で告知する。
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テキスト・参考文献(Textbooks) |
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とくに定めない。
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授業時間外の学習《準備学習》(Assignments) |
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居住地、出生地その他関わりがある地方政府(都道府県および市町村)の庁舎に赴き、情報公開室等を訪れて刊行物・公報資料を集めてみる;またインターネット、配布される公報紙などで情報を集める;こうして蓄積した情報と自らの経験をつきあわせて、地方政府から供給されているサービスを具体的に認識し、その評価を試みること。
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学生への要望・その他(Class Requirements) |
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授業に出席し、ノートをしっかりとりながら聴講すること。黒板の坂書の書き写しのみでは不充分と心得ること。
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授業の計画(Course Syllabus) |
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【第1回】 中央と地方の財政関係:概観 【第2回】 補助金制度概観:特定補助金と一般補助金 【第3回】 国庫支出金(1):地方政府の経費と特定補助金 【第4回】 国庫支出金(2):国庫支出金の制度 【第5回】 国庫支出金(3):国庫支出金の問題性 【第6回】 国庫支出金(4):「補助金削減」の構造 【第7回】 地方交付税のしくみと機能(1):財政調整制度の意義と問題 【第8回】 地方交付税のしくみと機能(2):地方交付税制度の概要 【第9回】 地方交付税のしくみと機能(3):基準財政需要 【第10回】 地方交付税のしくみと機能(4):「交付税措置」 【第11回】 地方債(1):地方債制度の問題性 【第12回】 地方債(2):地方財政の赤字問題 【第13回】 公営事業・地方公営企業・第3セクターとその財政問題 【第14回】 地方分権と地方税財源問題 【第15回】 まとめと試験(ただし試験の実施方法は開講後に決定)
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