Web Syllabus(講義概要)

平成24年度

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入門ゲーム論 II 小島 寛之
選択必修  2単位
【経済】 12-1-1110-0211-06

1. 授業の内容(Course Description)
 ゲーム理論は、ゲームでの戦略とプレーの結果として行き着く結末を分析する分野である。諸君は、「ゲーム」というと、ファイナルファンタジーやオンラインゲーム、あるいはトランプや将棋、はたまた野球やサッカーを思い浮かべることと思うが、それらもすべてゲーム理論の分析対象である。しかし、これらのゲームは構造があまりに複雑で、ゲームと戦略そのものを定義するだけでも膨大な時間を要する。したがって、ゲーム理論では、これらの広汎なゲームのエッセンスだけを抽出し、もっと単純な構造のゲーム(例えば、じゃんけんのようなゲーム)に還元させて分析する。
 ゲーム理論は、フォン・ノイマンとモルゲンシュテルンが1944年に提示してから、多くの分野に波及し、現在では数学、経済学、生物学、統計学、心理学、法学、政治学など様々な分野で研究されている。本講義は、経済学部での講義であるため、経済分野への応用を見据えて構成することとする。例えば、寡占競争、オークション、貿易問題、賃金契約、金融政策など幅広い問題がゲーム理論によって分析可能である。
 ゲーム理論は、全体としては高度に数学的であるが、そのコンテンツ自体は身近なものであり数学的な基礎がなくても十分に理解できる。したがって、本講義では、数学をほとんど使わず、ゲーム理論の面白い部分だけを習得していただくことを目標とする。
 ゲーム理論は、おおまかに分けると、戦略型ゲーム(ワンショットのゲーム)と展開型ゲーム(手番で進行するゲーム)の二種類がある。後期も、前期に引き続き、展開型ゲームを講義する。とりわけ、現実社会の分析への応用に焦点を定める。講義内容は、展開型ゲームの定義とゲームの木の復習、バックワードインダクションの復習、石油の自由化と参入ゲーム、裁量とルール、動学的不整合性、金融政策の問題など。
2.
授業の到達目標(Course Objectives)
 展開型ゲームの構造と戦略と均衡を十分に理解し、それがどう現実社会を分析するかを納得できること。
3.
成績評価方法(Grading Policy)
 ゲームとその解き方を理解するための問題演習を3~4回、抜き打ちで行う。それらの結果を出席ボーナス点として成績に反映させる(30点程度)。それに期末テスト(70~80点満点)の点数を加えて成績評価する。履修カードの提出、カードリーダーの出席記録、問題演習の提出が不足の場合、期末テストの受験資格を与えないので注意すること。
4.
テキスト・参考文献(Textbooks)
 講義中に指示する。
5.
授業時間外の学習《準備学習》(Assignments)
 次の講義までに前回の講義の復習を60分程度行うこと。
6.
学生への要望・その他(Class Requirements)
 必ず出席して、課題をこなし、ボーナス点を獲得すること。出席回数の少ない学生は単位を取得できない可能性が高いので、あまり出席しない(できない)学生(特に4年生)は、履修しないで欲しい。
7.
授業の計画(Course Syllabus)
【第1回】
 講義ガイダンス~講義の内容、単位取得方法などを説明
【第2回】
 展開型ゲームとゲームの木の復習
【第3回】
 戦略型ゲームの定義の復習〜戦略と利得。
【第4回】
 バックワードインダクションと部分ゲーム完全均衡の復習
【第5回】
 石油の自由化と参入ゲーム(1)
【第6回】
 石油の自由化と参入ゲーム(2)
【第7回】
 政府と企業のゲーム
【第8回】
 裁量かルールか(1)
【第9回】
 裁量かルールか(2)
【第10回】
 動学的不整合性
【第11回】
 金融政策
【第12回】
 支配戦略の逐次消去(1)
【第13回】
 支配戦略の逐次消去(2)
【第14回】
 総合演習
【第15回】
 講義の遅れに対する調整または最終演習