Web Syllabus(講義概要)

平成24年度

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入門ミクロ経済学 I 小島 寛之
選択必修  2単位
【経済】 12-1-1110-0211-09

1. 授業の内容(Course Description)
 経済学の理論は大きく分けると、ミクロ経済学とマクロ経済学に分かれる。マクロ経済学は、国家単位で集計して巨視的な観点から経済にアプローチするものであるのに対し、ミクロ経済学は、一人一人の消費者や労働者、それから一つ一つの企業などに注目して、経済を営む最小単位からアプローチするものである。ミクロ経済学での大きなテーマは、マーケットにおいて価格を使って取引する「市場機構」にどんな法則が働き、どんなメリットやディメリットがあるか、ということだ。
 わたしたちは、毎日、経済に参加している。消費者として商品を購入したり、アルバイトや正規の労働者として商品を作ったり、運んだり、販売したりしている。これらがあまりに日常的なので、わたしたちは、それらの行動にどんな必然性や合理性があるかを振りかえって考えることはほとんどない。ミクロ経済学では、このようなわたしたちの日常の経済行動の背後にある理屈を掘り起こす。それは一言でいえば、わたしたちが商品に見出す「価値」とは何であり、それがわたしたちをいかなる行動に導くか、ということである。
 ミクロ経済学を学ぶメリットはたくさんある。例えば、オークションという取引にどんな法則性が働いているかがわかったり、モノを買うときどうやったら無駄なく有利になるかを知ったり、人に何かを買ってもらうにはどうすればいいかが掴めたりすることである。したがってミクロ経済学の知識は、諸君が実業界で活躍するとき、余すところなく活かすことができるだろう。
 本講義では、ミクロ経済学の基礎となるさまざまなツールを解説することにしよう。前期には、「個人の合理性」から市場機構の働きを講義する。具体的には、経済が究極的には物々交換であること、それが、貨幣と市場取引にとって円滑に行われていること、オークションは最も効率的な交換方式であること、などである。
2.
授業の到達目標(Course Objectives)
 個人を基礎にした経済合理的行動の理解を到達目標とする。
3.
成績評価方法(Grading Policy)
 講義内の問題演習を抜き打ちで3~4回実施し、出席ボーナス点を与える(計30点程度)。それに期末テスト(70~80点満点)の点数を加えて評価する。履修カードの提出、カードリーダーの出席記録、問題演習の提出が不足の場合、期末テストの受験資格を与えないので注意すること。
4.
テキスト・参考文献(Textbooks)
 講義で指示する。
5.
授業時間外の学習《準備学習》(Assignments)
 次の講義までに前回の講義の復習を60分程度行うこと。
6.
学生への要望・その他(Class Requirements)
 必ず出席して、課題をこなして、ボーナス点を獲得すること。データから見て、出席回数の少ない学生は高確率で単位を落としている。あまり出席しないつもりの学生(特に4年生)は、履修しないで欲しい。
7.
授業の計画(Course Syllabus)
【第1回】
 講義ガイダンス~講義の内容、単位取得方法などを説明
【第2回】
 ミクロ経済学とは何か~アダム・スミスの発想、最適と効率、合理性、市場
【第3回】
 経済とは究極的には物々交換である。
【第4回】
 選好とは何か
【第5回】
 選好と交換
【第6回】
 交換は市場参加者全員をより好ましくする~パレート改善
【第7回】
 欲望の二重の一致~貨幣の働き
【第8回】
 物々交換を潤滑にするものその2~市場取引
【第9回】
 商品への内的価値評価~需要曲線と供給曲線
【第10回】
 イングリッシュオークション
【第11回】
 ダッチオークション
【第12回】
 余剰と経済厚生
【第13回】
 労働を交換経済で捉える
【第14回】
 金融を交換経済で捉える
【第15回】
 講義の遅れに対する調整または最終演習