1. |
授業の内容(Course Description) |
|
産業組織論(インダストリアル・オーガニゼーション、IOと略称)の基盤的理論を解説するとともに、重要な実証研究群を紹介する。これにより日本の産業に限ることなく、産業構造や発展性を大まかに把握する視角を身につけることができる。「日本の産業」の看板は、産業発展の歴史的発展経過を追うような印象を帯びるが、本講では歴史的アプローチはとらないので注意されたい。 市場機能に対する信頼が大きく揺らいだ1930年代に、産業組織論は市場分析の新しい枠組としてハーバード大学で誕生した。古典派経済学の牙城であるシカゴ大学の理論家はこれに反発し、両学派の間で熾烈な論争が展開された。更に後年、ゲーム論で重装備した顆しいモデラーが、この分野に参入し、IOの面目を一新させるような変化が生じた。現在では、一時期なりをひそめていた実証研究面の発展も著しい。IOはノーベル賞受賞者を何人も出す豊かな内容の分野となり、IOからスピンアウトした分野やシナジー的に発展した分野もある。IOの基礎を解説する。
|
2. |
授業の到達目標(Course Objectives) |
|
ハーバード大学とシカゴ大学の対立(HvsC)を、前期では中心テーマとして紹介する。自らの市場観形成の一助となったり、市場や産業を把握する目を養ってもらえればよいと考える。
|
3. |
成績評価方法(Grading Policy) |
|
平常点・学期末のテスト・出席状況を考慮に入れて、コースの評価とする。
|
4. |
テキスト・参考文献(Textbooks) |
|
未定。後日指定する。テーマによって資料を配布して補足する。
|
5. |
授業時間外の学習《準備学習》(Assignments) |
|
クラス内で指示する。
|
6. |
学生への要望・その他(Class Requirements) |
|
ミクロ経済学の中の企業行動分析(完全競争と独占のもとで)は、既習であることが望ましい。
|
7. |
授業の計画(Course Syllabus) |
|
【第1回】 産業組織論の歴史、著名な研究者。H vs C 【第2回】 三分割法とは何か。これへの批判とは何か。 【第3回】 市場集中の指標として使われるもの、使われないもの 【第4回】 市場集中の原因としての費用要因(特にMES) 【第5回】 製品差別の諸要因 【第6回】 製品差別の均衡と総余剰最大化水準 【第7回】 参入障壁の諸要因と実証分析 【第8回】 参入阻止価格に対する批判 【第9回】 垂直統合の理論Ⅰ 【第10回】 垂直統合の理論Ⅱ 【第11回】 垂直統合の実証分析 【第12回】 プライス・コスト・マージンと理論 【第13回】 プライス・コスト・マージンの実証分析 【第14回】 補論(広告・R&D他) 【第15回】 補論とテスト
|