Web Syllabus(講義概要)

平成24年度

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開発経済論 II
(開発経済論)
高梨 和紘
選択必修  2単位
【経済】 12-1-1110-1895-06

1. 授業の内容(Course Description)
 持続する貧困状態そのものを、さらに、貧困状態から脱し豊かな経済社会へと発展する経済の動きを、簡潔なモデルによって一般化したうえで分析しうることを、複数の先行研究を参照しながら説明する。貧困状態から容易に脱しし得ない状況はどのような図式として描けるのか、そしてその図式から逃れるためにどのような方策があるのかについて説明する。つぎに、停滞を続ける経済であっても、一定のレベルに達すれば発展の持続プロセスに移行できるものと想定し、このレベルを若干なりとも超えるまでに外部からまとまった資金を注入して押し上げるという開発戦略モデルについて説明し、その現実妥当性について説明する。また、経済発展を工業部門における資本蓄積として捉え、それは農業部門からの工業部門への労働移動によって実現されると想定するモデルについても、経済学の分析用具がどのように活用されるかを説明する。また、新古典派理論モデルを応用した世銀、IMFの構造調整モデルの構造とその現実妥当性についても検討を加えた。
 こうした講義内容を踏まえ、「開発経済学Ⅱ」では、この学問分野が実践的な性格を持つことを強調する。
2.
授業の到達目標(Course Objectives)
 開発経済という学問が単なる机上の空論ではなく、貧困に喘いでいる人々を経済的に解放し、人間らしい日常生活を享受できる状況の下に置くための実践的な性格を持つことを理解する。そして経済的解放のプロセスの主役はあくまでも貧困状態にある人々であり、かれらの主体性を妨げる援助は避けるべきであることも理解して欲しい。
3.
成績評価方法(Grading Policy)
 試験は、持ち込み『不可』で行います。
 成績評価は①テストの結果と②出席状況の両方を勘案し、総合的に評価します。
 出席についてはタッチパネルで7回以下の場合はコンピュータが自動的にR評価をしますので、単位を与えることはできません。充分注意すること。
4.
テキスト・参考文献(Textbooks)
 高梨 和紘著『経済開発政策論』文眞堂、2009.
 高梨 和紘編著『開発経済学-貧困削減から持続的発展へ』(慶應義塾大学出版会)、2005.
 山形・黒崎共著『開発経済学-貧困削減へのアプローチ』日本評論社、2003.
 速水佑次郎著『開発経済学-諸国民の貧困と富』創文社、2000.
5.
授業時間外の学習《準備学習》(Assignments)
 テレビ、Webサイト、新聞、雑誌等々に目を通し、講義内容と関連する情報を日常的にチェックすること。
6.
学生への要望・その他(Class Requirements)
 問題意識をもって、受講して欲しい。
7.
授業の計画(Course Syllabus)
【第1回】
 はじめに:開発経済学の狙い
【第2回】
 低購買力市場への商品アプローチ
【第3回】
 一村一品政策
【第4回】
 一村一品と参加農民の内面的変容
【第5回】
 一村一品政策の経済的影響
【第6回】
 マイクロファイナンスによる貧困削減
【第7回】
 ヴェトナムにおけるマイクロファイナンス戦略
【第8回】
 アフリカにおけるマイクロファイナンス
【第9回】
 農村金融と民間商業銀行
【第10回】
 教育と経済開発①
【第11回】
 教育と経済開発②
【第12回】
 発展途上国の保健医療①
【第13回】
 発展途上国の保健医療②
【第14回】
 発展途上国の環境保全①
【第15回】
 発展途上国へのCSR普及