Web Syllabus(講義概要)

平成24年度

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日本の税法 II
(税法 II)
古市 将人
選択必修  2単位
【経済】 12-1-1110-1939-08

1. 授業の内容(Course Description)
 なぜ、私たちは政府に税金を支払うのだろうか。この疑問に対して、憲法に規定されている「納税の義務」を持ち出すのが一番手っ取り早い答えであろう。または、政府が供給する公共サービスの財源調達のためであると、説明する人もいるかもしれない。実際、私たちが日々利用する道路・公園・保育園・小中学校・介護施設は、国や地方自治体が建設し整備しており、その財源は租税によって調達される。しかし、私たちがお店で商品を買う関係とは異なり、納税額と納税者の受け取る公共サービス量は一対一の対応関係をもっていない。
 この税と公共サービスに関する論点を出発点として、税制を理解するために必要な基本的な制度・理論・歴史を、本講義では扱っていく。特に本講義では、日本の税制を租税の理論(租税論)の観点から理解することを一つの目標とする。実定税法の諸規定や税制改革の動向は租税論の成果を基礎としている場合が多く、日本の税法を理解するのに租税論の学習は必要不可欠である。もちろん「理論」と「現実」との間には大きな乖離があり、理論のみならず税制史の流れについても触れていく。
 日本の税法Ⅱでは、近年重要視されてきている環境税から日本の地方税まで、幅広く日本の税制と税の理論を扱っていきたい。
2.
授業の到達目標(Course Objectives)
 国や地方自治体が供給する公共サービスは私たちの生活に大きな影響を与え続けている。その公共サービスの財源である。租税の理論・制度・歴史について受講生に一定の知識をもってもらうことで、税制をめぐる議論を複眼的な視点で理解できるようになることが、本講義の目標である。
3.
成績評価方法(Grading Policy)
 基本的に、15回目講義で実施する授業内試験の成績で評価する。
 ただし、試験の点数が基準値(C判定)に達しなかった場合は、出席点による救済措置が適用される。出席回数が大きいほど、この救済措置は強力になる。成績評価・試験方法に関する詳細は第1回の授業時に説明するので、可能な限り出席してほしい。
4.
テキスト・参考文献(Textbooks)
 特に指定はしない。毎回の講義において、プリント・資料を配布する予定である。
 講義に関係する基本的な参考文献として、以下の文献を挙げておく。参考文献は、講義にて適宜紹介する。
 参考文献
  諏訪園健司編『図説 日本の税制(平成23年度版)』財経詳報社。
  林正寿『租税論 税制構築と改革のための視点』有斐閣
5.
授業時間外の学習《準備学習》(Assignments)
 取り上げるトピックは豊富なので,配布するプリント・資料を活用して積極的に復習をおこなってほしい。細かい制度の記述よりも、税制度の歴史的な流れを把握して欲しい。
6.
学生への要望・その他(Class Requirements)
 日本の税法Ⅰと併せて履修することが望ましい。ただし、日本の税法Ⅰ未履修の学生でも理解できるように講義する予定である。
 授業に出席して私語をせずに勉強する学生の履修を希望する。
7.
授業の計画(Course Syllabus)
【第1回】
 授業のガイダンスと基本知識の確認
【第2回】
 本講義に必要な租税論の復習
【第3回】
 日本の地方税体系と税源配分論(1)
【第4回】
 日本の地方税体系と税源配分論(2)
【第5回】
 日本の地方税史における地方消費税の位置
【第6回】
 地方消費税の理論と歴史(1)
【第7回】
 地方消費税の理論と歴史(2)
【第8回】
 国際課税と租税回避
【第9回】
 国際課税とグローバル・タックス
【第10回】
 環境税の理論・制度・歴史
【第11回】
 地方自治体の独自課税と地方環境税
【第12回】
 これまでの講義の復習・補足
【第13回】
 地方自治体の独自課税(2)
【第14回】
 租税の正当性と国家予算
【第15回】
 まとめと試験