Web Syllabus(講義概要)

平成24年度

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社会福祉と経済 I 吉田 治郎兵衛
選択必修  2単位
【経済】 12-1-1110-3256-03

1. 授業の内容(Course Description)
 現代世界が未曾有のグローバリゼーションと技術革命による世界規模の開発の進行の下に、人間と自然の共生関係が崩壊の危機に直面し、地球生態系が変調をきたしている。過度な工業化はグローバル化(世界的市場化)の推進によってもたらされたことから、「調和ある社会」、「共生持続社会」の構築が重視されはじめ、その課題は「社会と市場」の調和を図る「公共―市場システム」を軸に社会の各領域に調和型システム、格差緩和システムを構築することである。この重要な分野に社会保障制度の再構築と経済との関係の見直しがある。キーワードは「公共・市場・技術」であり、その統合的方法である。
 授業では、中国をケーススタディとして社会保障と経済の関係を学生と共に考えてみる。
 必要に応じ中国のニュース映像を用いると共に中国に一度も行ったことの無い学生の実情と今後の日中の観光産業の発展を考慮し、中国の世界文化遺産の映像資料を時々用いて中国の歴史・文化と経済との関係についても補足する。
2.
授業の到達目標(Course Objectives)
 ①中国の経済と社会保障関係の基本的統計書『中国統計年鑑』、『中国労働社会保障年鑑』の重要部分を中国語が出来なくても利用できるスキルを育成する。
 ②中国の市場経済が改革開放後今日までどのように発展してきたかを理解する。
 ③中華人民共和国において、社会保障とは何かに対する独自の意見を持つ。
 ④アジアにおいて共生社会のあり方を模索する。
3.
成績評価方法(Grading Policy)
 成績は、次の3つの方面から評価する。
 ・授業中の積極性。
 ・配布した授業プリント、独自に収集した関連資料を保管し活用できる状態にしていること。
 ・最終授業の前にA4の紙1枚以上に1000字以上の授業に対する意見・感想・提言を書いて提出していること。
4.
テキスト・参考文献(Textbooks)
 授業中に適時配布するが、量的に多くなることが予想される。学生は保管することを希望する。
 参考文献は、授業中に紹介する。
5.
授業時間外の学習《準備学習》(Assignments)
 授業によって興味を抱いた分野に対し、日本語、中国語、英語を問わず資料収集し独自の分析能力を高めることを希望する。
6.
学生への要望・その他(Class Requirements)
 授業に積極的に出席することを希望するが、事情があって欠席が多い場合は、相談すること。
7.
授業の計画(Course Syllabus)
【第1回】
 ・授業の進め方・評価方法に対するガイダンス。
 ・中国の社会保障と経済の概況説明。
【第2回】
 ・『中国統計年鑑』の中の次の経済関係の重要指標を中国語が読めなくても理解できるスキルの習得方法①――人口、GDP、輸出総額・輸入総額・国際収支、消費者物価指数、都市住民平均住宅床面積など。
【第3回】
 ・『中国統計年鑑』の中の次の経済関係の重要指標を中国語が読めなくても理解できるスキルの習得方法②――国家財政収入と支出、中央と地方財政、主要財政支出項目、外債購入残高など。
【第4回】
 ・『中国労働社会保障年鑑』の中の次の経済関係の重要指標を中国語が読めなくても理解できるスキルの習得方法③――エネルギー生産総量と構成、石油・石炭・電力消費量、1人当りの平均エネルギー消費量など。
【第5回】
 ・『中国労働社会保障年鑑』の中の次の社会保障関係の重要指標を中国語が読めなくても理解できるスキルの習得方法①――都市労働者平均賃金、産業別労働者平均賃金、各地域の職業紹介状況など。
【第6回】
 ・『中国労働社会保障年鑑』の中の次の社会保障関係の重要指標を中国語が読めなくても理解できるスキルの習得方法②――公的年金加入率、公的年金の基金状況、公的医療保険加入率と基金状況、失業保険加入率と基金状況。
【第7回】
 ・過去における政府発表統計数値と現状との乖離に実例の講義――失業率、公的医療保険加入率、公的年金受給率等。
 ・統計数値を鵜呑みにしない心構えの講義。
【第8回】
 ・計画経済期の医療保険制度の創設と発展――企業労働者の医療保険制度の創設と財源、党職員と公務員の医療制度と財源、所属単位と医療保障、大きな人口比率を占めた農民の医療保障状況など。
【第9回】
 ・市場経済期の医療保険制度の再構築と展開――管理組織が単位から政府へ、保険制度の展開、年間支払い限度額、医療財源の内訳、基金管理組織、医療格差の内容。
【第10回】
 ・計画経済期の公的年金制度の創設と発展―一一般企業労働者の公的年金制度の創設と財源、党職員と公務員の年金制度と財源、女性労働者の年金、所属単位の影響力、農民の老後の生活保障など。
【第11回】
 ・市場経済後の公的年金制度の再構築と展開――管理組織が単位から政府へ、制度の展開、1人当りの年金額、年金財源の内訳、基金管理組織。
【第12回】
 ・市場経済と失業保険――失業はどのようにして表面化したのか、産業構造の変化と労働者の転職制度・失業保険、失業保険の財源、経済発展と失業保険の展開。
【第13回】
 ・計画経済期における福祉制度の内容。
【第14回】
 ・市場経済期における各種福祉制度、生活救済制度、失業保険制度の創設と展開。
【第15回】
 ・前期授業の総括。