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授業の内容(Course Description) |
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企業経営を学ぶ学生にとって、企業を取り巻くリスクが経営に及ぼす影響を理解するには、「リスクと保険の枠組み」及び「企業経営の基礎知識」が必要である。 本授業は、企業経営のリスクをいかに管理すべきかを理論と実務の両面から考える。企業経営を取り巻くリスクは“トータル”に管理しなければならない。ここでいう“トータル”とは、企業の経営体制そのものもリスク管理の対象であるということである。最も大切なことは、複数の相関するリスクに適切に対応できる経営体制の構築である。それは、企業価値(株主価値)を向上させる経営体制であり、それを担保するためのコーポレートガバナンス(企業統治)の確立であり、内部統制システムの確立である。そして、その背景には全役職員が共有できる企業理念(経営理念)が存在しなければならない。これが企業経営のトータルリスク管理の原点である。
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2. |
授業の到達目標(Course Objectives) |
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企業人あるいは起業人として、最低限押さえておかなければならない企業経営のトータルリスク管理の「実務」と、その背景にある「理論」を理解することを目標とする。 後期は、執行リスク管理体制、リスクファイナンス、および個別リスク管理の基本を修得するとともに、ケーススタディを通じて、「各種保険(損害保険、生命保険、社会保障と社会保険)」と「トータルリスク管理」への理解を深めることを目標とする。
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3. |
成績評価方法(Grading Policy) |
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事前予習とそれに基づく討論をおこない、レポートなどの提出を求めるので、授業には必ず出席し、議論に積極的に参加することを最も重視して評価を行う。
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テキスト・参考文献(Textbooks) |
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(1)参考書 a.津森信也・大石正明『経営のためのトータルリスク管理』中央経済社(2005年) b.岩瀬泰弘『企業価値とリスクキャピタル』千倉書房(2010年) c.S・E・ハリントン/G・R・ニーハウス『保険とリスクマネジメント』東洋経済新報社 (2)資料 必要に応じて資料を配布する。
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授業時間外の学習《準備学習》(Assignments) |
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指定したテキストを事前によく読み、分からない点をあらかじめ整理しておくこと。
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学生への要望・その他(Class Requirements) |
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「リスクと保険 特講Ⅰ」を履修していることが望ましい。
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授業の計画(Course Syllabus) |
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授業は概ね次のように行なう予定であるが、進度状況や社会情勢の変化により変更することがある。 【第1回】 オリエンテーション 【第2回】 執行リスク管理体制 【第3回】 リスクファイナンス(1)目的・機能および検討手順 【第4回】 リスクファイナンス(2)伝統的保険と新しい保険 【第5回】 リスクファイナンス(3)その他のリスクファイナンス 【第6回】 ART(代替的リスク移転) 【第7回】 個別リスク管理(1)事業投資リスク(正味現在価値、DCF法など) 【第8回】 個別リスク管理(2)市場リスク(デリバティヴ、VaRなど) 【第9回】 個別リスク管理(3)信用リスク(エコノミック・キャピタルなど) 【第10回】 個別リスク管理(4)ハザードリスク(リスクプロファイルなど) 【第11回】 個別リスク管理(5)オペレーショナルリスク(バーゼル資本規制など) 【第12回】 個別リスク管理(6)危機管理(統合的リスク管理など) 【第13回】 ケーススタディ(1)保険・証券の応用 【第14回】 ケーススタディ(2)経営体制リスク管理と執行リスク管理の融合 【第15回】 まとめ(論点の整理と総括)
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